上司に言いづらい・言えないと感じる理由
社会人1〜3年目にありがちな不安と心理的ハードル
社会人になりたての頃、上司に何かを伝えることに強いプレッシャーを感じた経験はありませんか?
「こんなこと言っていいのかな…」「怒られたらどうしよう…」と、不安に駆られて言いたいことが言えず、結果的に後悔したという人も多いはずです。
特に新卒や入社して数年の若手社員にとっては、「まだ経験が浅い」「評価が気になる」「信頼されたい」という思いが強く、その気持ちが“言いづらさ”につながることがあります。
たとえば、こんな場面がよくあります:
- 自分のミスを報告するのが怖い
- 上司の指示が納得できないが言いにくい
- 体調不良やメンタル不調で休みたいが言えない
- 業務量が多すぎてつらいけど「弱音」だと思われたくない
これらはすべて、仕事への責任感や、自分の立場を守りたいという思いからくるごく自然な反応です。言いづらくて当然なんです。
しかし、黙っていることで状況が悪化したり、さらに大きなトラブルにつながることもあります。
まずは「なぜ言いにくいのか?」という心理的な背景を理解することで、少しずつその壁を崩していくことができます。
上司との関係性が「伝えづらさ」を生む理由
「上司」との関係性がまだ浅い、または距離感がある場合、それだけで話しかけること自体に緊張してしまうものです。
これは、上下関係がある職場環境において、多くの新卒・若手社員が感じる共通のストレスです。
職場では上下関係が存在し、上司は評価権限を持っている存在。つまり、「自分の将来」に関わる影響力のある相手に対して本音を伝えるのは、どうしても慎重になります。
特に次のような上司のタイプだと、言いづらさが倍増します:
- 常に忙しそうで声をかけにくい
- 厳しい・論理的すぎて感情が通じなさそう
- 話を聞かずにすぐ結論を出す
- 過去に一度怒られた経験がある
このような相手に対して、「間違いを伝える」「反対意見を述べる」「体調不良を申し出る」などは、高い心理的ハードルになります。
また、「空気を読む文化」が根強い日本の職場では、「言わない方が波風立たない」という価値観も働きやすいです。
ですが、この“言わなさすぎ”が後々の信頼関係を壊してしまうケースも少なくありません。
大切なのは、「上司も一人の人間である」という視点を持つこと。
完璧な人ではないし、部下からの報告や相談を“待っている”ことも多いのです。
実際、「もっと早く言ってくれたらよかったのに」と後から言われた経験がある人もいるのではないでしょうか?
つまり、言いづらさの多くは「思い込み」や「過剰な自意識」からくるもの。
上司との関係性は日々の積み重ねで変わっていきますし、伝え方を工夫すれば関係が良くなることもあります。

言いづらいことを整理するための準備方法
伝えるべき内容を明確にする方法
上司に言いづらいことがあるとき、いきなり感情のまま話そうとすると、言いたいことがまとまらず、余計に伝わらなかったり、誤解を招いてしまったりすることがあります。
だからこそ、まずは「何を伝えたいのか」を自分の中でしっかり整理することが大切です。
ポイントは以下の3つです:
- 目的をはっきりさせる
- 「自分の状況を分かってほしい」のか
- 「アドバイスがほしい」のか
- 「改善してほしいことがある」のか
伝える目的を明確にすることで、話の軸がぶれません。
- 伝えたい要素を書き出す
ノートやスマホのメモなどに、話したいことを箇条書きで書き出してみましょう。頭の中だけで整理しようとすると、緊張したときに飛んでしまう可能性があります。
書き出すことで、自分の気持ちや事実が可視化され、冷静に話す準備ができます。 - 優先順位をつける
すべてを一度に伝えようとすると、聞く側も混乱します。「これだけは伝えたい」というポイントを2〜3個に絞っておくと、話の流れもスムーズになります。
特に、ミスの報告や業務上の悩みのようにネガティブな内容を伝える場合は、事実ベースで簡潔に話すことが信頼につながります。
たとえば、「業務が多すぎてつらい」と言いたい場合、
ただ「つらい」と伝えるのではなく、
「現在、Aの業務に加えてBとCも担当しています。1日のスケジュールが詰まり、ミスが出ることもあり不安です。業務の優先順位や進め方について相談させていただけないでしょうか」
といったように、事実+自分の気持ち+相談の姿勢、という3つの要素を意識すると、上司も受け入れやすくなります。
感情と事実を切り分けるコツ
言いづらいことほど、感情が先に立ってしまいがちです。
「納得いかない」「腹が立つ」「モヤモヤする」といった感情は自然ですが、そのまま伝えると相手を攻撃するように聞こえ、関係が悪化する原因になります。
そこで大切なのが、感情と事実を分けて伝えることです。
ここで簡単なフレームワークをご紹介します:
■「事実」→「感情」→「提案」の順で伝える
- 事実(What happened?)
- 何があったのか、何が起きたのかを客観的に述べる
- 例:「昨日の会議で、Aプロジェクトの進め方について新しい方針が決まりました」
- 感情(How do you feel?)
- それに対して自分がどう感じたのかを素直に伝える
- 例:「ただ、内容が共有されていなかったため、少し戸惑ってしまいました」
- 提案(What do you want?)
- 今後どうしたいか、どうしてほしいかを伝える
- 例:「今後、あらかじめチーム全体にも情報共有いただけると助かります」
この流れを意識することで、相手を責めることなく、自分の意見や状況を伝えることができます。
また、あらかじめ伝える内容を“台本”のように紙に書いて練習するのも有効です。話す内容を一度声に出して確認しておくと、実際の場面でも落ち着いて話しやすくなります。
「準備をしっかりすること=伝える覚悟を持つこと」です。
準備ができていれば、少し言いづらいことでも、堂々と伝えることができます。
その積み重ねが、信頼される若手社員へとあなたを育てていくのです。

上司に伝えるタイミングと環境の整え方
報告・相談に適したタイミングとは?
上司に何かを伝えるとき、「いつ言うか」は内容そのものと同じくらい大切です。
タイミングを誤ると、相手に真剣に受け取ってもらえなかったり、「空気が読めない」と思われてしまう可能性もあります。
まず避けるべきNGタイミングを把握しておきましょう:
- 上司が明らかに忙しそうにしているとき
→ デスクに書類が山積み、電話を何本も受けているなど、話を聞く余裕がなさそうなときは避けた方がベターです。 - 会議直前や移動中のバタバタした時間帯
→ 落ち着いて話す時間が確保できないと、途中で切り上げられる可能性があります。 - ランチ直後や終業間際など、集中力が低下しがちな時間帯
→ お互いのコンディションも含めて考えると、避けた方が無難です。
では、良いタイミングとはどんなときか? 以下のような状況が理想的です:
- 上司の手が空いていそうな時間を見計らう
→ 午前中の10時〜11時ごろ、午後の14時〜15時ごろは比較的話しかけやすい時間帯です。 - 上司が自席でゆったりしているときや、雑談に応じてくれそうな雰囲気のとき
→ 表情や動きから「今ならいけそう」と感じる瞬間を見逃さないようにしましょう。 - 事前に「少しお時間いただけますか?」と声をかける
→ いきなり話し始めるのではなく、ワンクッションおくことで相手の心の準備も整います。
また、どうしても直接タイミングが取りにくいときは、チャットやメールで相談したい旨を事前に伝えておくのも有効です。
例:「ご多忙のところ恐れ入りますが、10分ほどご相談したいことがあります。ご都合のよいお時間をご教示いただけますでしょうか?」
このような一言があるだけで、上司も“構える”ことができ、丁寧な印象を与えられます。
オープンに話せる「場所」と「雰囲気」の作り方
タイミングと同じくらい重要なのが、「どこで伝えるか」という“場所”の問題です。
内容によっては、周囲に人がいるオープンな空間では話しづらいものもあります。
たとえば以下のような内容は、個別の場を設けたほうがよい例です:
- ミスの報告や謝罪
- 上司へのフィードバック(言いにくい指摘)
- 体調やメンタルの相談
- 仕事の進め方に関する違和感や悩み
その場合、次のような「環境作り」を意識しましょう:
- 打ち合わせスペースや会議室を利用する
オフィス内にちょっとした打ち合わせスペースがあるなら、「少しお時間いただけますか」と声をかけ、短時間だけでも個別で話せる場所を確保しましょう。 - オンラインミーティングを提案する(テレワーク時など)
リモートワーク中であれば、チャットで相談するのではなく、Google MeetやZoomなどで「5分だけお話しできませんか?」と声をかけるのも有効です。 - “真剣すぎない”雰囲気を作る
深刻な話をするときでも、あえて最初に「ちょっとした相談なんですが」など、軽いトーンを加えることで、上司が身構えずに話を聞きやすくなります。
また、話し方の雰囲気も大切です。次のような工夫をすると、聞く側に安心感を与えられます:
- 最初に「少しだけ時間いただいてもいいですか?」と丁寧に切り出す
- 話の途中に「お忙しい中すみません」と挟む
- 話し終わったあとに「お時間いただき、ありがとうございました」とお礼を伝える
こうした姿勢は、内容がどれだけ難しくても、相手の受け取り方を柔らかくしてくれます。
伝える内容ももちろん大切ですが、それ以上に「いつ・どこで・どんな雰囲気で」伝えるかは、コミュニケーションの成否を分ける大きなポイントです。
一番伝えたいことが、ちゃんと届くように。
自分から“話しやすい場”を作る意識を持つことが、上司との信頼関係を深める第一歩になります。

上司に伝えにくい内容を上手に伝えるテクニック
クッション言葉・前置きを使った伝え方
いきなり本題に入ってしまうと、聞く側(=上司)も驚いたり、構えてしまったりすることがあります。
そこで活用したいのが、「クッション言葉」や「前置き」です。
これは、話の冒頭に一言添えることで、相手に配慮を示す表現です。
たとえば以下のような言い回しがあります:
- 「お忙しいところ恐れ入りますが…」
- 「少し言いづらい話なんですが…」
- 「一度整理したくて、お話させてください」
- 「率直にお伝えしたいことがありまして…」
- 「僭越ながら意見を述べさせていただきますが…」
こういった表現を前につけるだけで、「あなたを攻撃しようとしているわけではありませんよ」「誠実な気持ちで話していますよ」という姿勢が伝わります。
たとえば、単に「このやり方は非効率だと思います」と伝えるよりも、
「僭越ながら、少し非効率に感じる点がありましたので、改善のアイデアを共有させていただけますか?」
という言い方にすると、印象がぐっと柔らかくなります。
また、話の「トーン」も大切です。
言葉は同じでも、冷たい表情や淡々とした口調だと、相手に強く響いてしまうこともあります。
一呼吸おいて、相手の目を見て、落ち着いた声で話すことで、より誠実な印象を与えることができます。
「私はこう思います」型の主観表現で角を立てない
上司に反対意見や指摘を伝えるとき、最も注意したいのは**「断定しすぎないこと」**です。
特に若手の立場で、「それは違います」「やる意味がないと思います」といった言い方をすると、攻撃的に受け取られてしまうことがあります。
そこで有効なのが、「私はこう思います」「私の理解ではこうでした」という、主観を示す柔らかい言い回しです。
以下のように言い換えると、相手の反発を避けつつ、自分の意見を伝えることができます:
| ストレートな言い方 | 主観を使った言い換え |
|---|---|
| 「そのやり方は間違ってます」 | 「私の理解が違っていたら申し訳ないのですが…」 |
| 「やる意味ないと思います」 | 「少し目的が分かりづらく感じました」 |
| 「この方法だと効率が悪いです」 | 「もっと効率的にできる方法があるかもしれません」 |
このように、「私は〜と感じました」「個人的には〜と考えています」といった表現を使えば、上司に“反論された”と受け取られる可能性を下げられます。
また、相手の意見を一度受け入れてから自分の考えを伝えると、さらにスムーズです。
例:「おっしゃることは理解できます。その上で、別の視点からも考えてみたのですが…」
このように“共感+意見”の順で伝えると、相手の立場を尊重しつつ、自分の意見も伝えることができます。
さらに効果的なフレーズ例
最後に、実際の会話で使いやすい「伝えづらいことを上手に伝えるフレーズ集」をいくつか紹介します。
- 「お言葉を返すようで恐縮ですが、〜という考えもあるかと思いました」
- 「すぐに判断がつかず申し訳ないのですが、一度持ち帰って整理させていただけますか?」
- 「小さなことかもしれませんが、気になっていた点がありまして…」
- 「自分自身の成長のためにも、あえてご相談させてください」
これらはどれも、「謙虚さ」と「前向きな意図」を含んだ言い回しです。
言いづらいことでも、誠意を持って丁寧に伝えることで、逆に信頼されるきっかけになることもあります。
まとめると、伝え方には“技術”があります。
いきなり上手く話せなくても、フレーズを知っているだけで自信が持てるようになります。
「伝える=敵対する」ではありません。むしろ、上司にとっても、あなたの正直な意見や報告は重要な情報源なのです。

ケース別:上司に言いづらいことの伝え方実例
ミスの報告やトラブル時の対応
社会人にとって、自分のミスを上司に報告するのは非常に言いづらい瞬間の一つです。
「怒られたらどうしよう」「評価が下がるかも」と不安になり、つい後回しにしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、ミスやトラブルは早めの報告が鉄則です。伝え方を工夫すれば、信頼につながる場面にもなり得ます。
✅伝え方のポイント
- 事実を端的に伝える
→ 何が起きたのかを感情ではなく、具体的な内容で伝える。 - 責任を取る姿勢を見せる
→ 言い訳せず、自分の行動を振り返る姿勢を見せる。 - 今後の対応策もセットで伝える
→ ミスだけで終わらせず、前向きな提案を添える。
💬伝え方の例
「本日、クライアントに送る資料の中で数値に誤りがありました。私の確認不足が原因です。すでに訂正版を作成し、再送の準備をしています。今後はダブルチェックのプロセスを設けたいと考えています。」
このように報告すれば、「自分の非を認めている」「リカバリーしようとしている」姿勢が伝わり、むしろ信頼を得られる場合もあります。
上司の指示に納得できない時の伝え方
上司の方針や指示に疑問を感じたとき、そのまま受け入れて動くのは不安…ということ、ありますよね。
ただ、反論の仕方を間違えると、「生意気」「協調性がない」と受け取られるリスクも。
大切なのは、上司の立場や意図を尊重しつつ、自分の視点も伝えることです。
✅伝え方のポイント
- まず上司の意見を理解しようとする姿勢を見せる
- 自分の考えは“提案”として伝える
- チームや会社にとってプラスになる視点で話す
💬伝え方の例
「ご指示の件、理解いたしました。一方で、別の方法もあるかもしれないと考えました。たとえば、●●のような進め方であれば、より早く対応できるかと思いますが、いかがでしょうか?」
また、「納得できない」という感情をストレートにぶつけるのではなく、
- 「意図をもう少し詳しく教えていただけますか?」
- 「自分の理解が浅いかもしれませんが、こういう点が気になりました」
といった、質問ベースの言い回しに変えることで、対立せずに意見交換の場をつくることができます。

【まとめ】上司に「言いづらい」を乗り越える第一歩
社会人1〜3年目の若手社員にとって、「上司に言いづらいことをどう伝えるか」は、日々の仕事の中でも大きな課題の一つです。
しかし、伝えることを恐れて黙ってしまえば、状況は改善せず、むしろ悪化してしまう可能性もあります。
この記事では、言いづらいと感じる理由から始まり、事前準備、タイミング、伝え方のテクニック、そして具体的なケース別の伝え方までを解説してきました。
改めて、押さえておきたいポイントを以下にまとめます。
■「言いづらい」と感じるのは自然なこと
- 経験が浅いことへの不安
- 評価や印象を気にする気持ち
- 上司との距離感や上下関係
これらはすべて、誰もが最初にぶつかる壁です。
だからこそ、「言えない自分はダメ」と責める必要はありません。
■準備と工夫で「言い方」は変えられる
- 伝えたいことを紙に書き出して整理する
- 感情ではなく、事実をベースに構成する
- クッション言葉や主観表現で、柔らかく伝える
一言の選び方、順番、話すトーン次第で、相手の受け取り方は大きく変わります。
■伝えることは「信頼関係」を築く第一歩
- ミスを報告することは誠実さの表れ
- 上司の指示に疑問があるなら、丁寧に“提案”する
- 自分の意見を伝えることで、相手にも気づきが生まれる
伝えることで初めて、関係性が築かれていきます。
上司だってすべてを把握しているわけではありません。部下からの声を必要としています。
■小さな一歩から始めよう
最初から完璧に伝える必要はありません。
まずは、「話しかけてみる」「5分だけ相談する」など、できる範囲から一歩踏み出してみましょう。
怖がりながらも伝えるその行動こそが、あなたを“信頼される人”に近づけていきます。
そして、その積み重ねが、確かな成長と自信に変わっていくのです。
どんな内容でも、伝え方ひとつで印象は変わります。
言いづらさを超えて、あなたの思いを上司に届けることで、きっと職場の人間関係も仕事のやりがいも、よりよい方向に動き始めるはずです。
焦らず、自分のペースで「伝える力」を磨いていきましょう。応援しています。


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