前職でうつ病を経験した方へ|就労支援を検討する際のポイントと再出発の方法

前職でうつ病を経験した方へ|就労支援を検討する際のポイントと再出発の方法
目次

うつ病を経験した後の再就職の壁

精神的・身体的なハードルとは

うつ病を経験したあとに再び仕事を探そうとすることは、多くの人にとって大きなハードルです。症状が落ち着いて「そろそろ働きたい」と思っても、実際に一歩を踏み出すのは簡単ではありません。まずは、どんな壁があるのかを具体的に整理してみましょう。

1. 再発への不安

うつ病の回復期にある人にとって最も大きな不安のひとつは、「また同じように具合が悪くなるのではないか?」という再発への恐れです。特に前職で強いストレスを感じていた人は、「同じような職場だったらどうしよう」と考えてしまい、前向きな気持ちになりにくいことがあります。

また、再発は実際に起こり得るものでもあります。厚生労働省のデータによると、うつ病の再発率は1年以内で約30%、5年以内では50%を超えるとも言われています。そのため、「不安を感じるのは自然なこと」と自分に言い聞かせることも大切です。

2. 体力と集中力の低下

うつ病は心の病ですが、体にも多くの影響を及ぼします。長期間にわたって休職していた場合、体力が落ちていたり、集中力や判断力が回復しきっていないことも少なくありません。

「一日8時間働けるのか」「満員電車に耐えられるのか」など、日常的な活動への不安も現実的な問題として浮かびます。そのため、就職を焦る前に自分の体調や生活リズムを丁寧に見直すことが重要です。

3. 自信の喪失

うつ病を経験したことで、「社会に必要とされていないのでは?」「自分にはもう働く力がないのでは?」といった自己否定的な考えが強くなってしまう人も多いです。実際、相談現場でも「履歴書に空白があることが怖い」「前職をすぐ辞めたことを責められるのでは」と話す方が多くいます。

しかし、このような気持ちはとても自然で、多くの人が抱えているものです。ここで大切なのは、「今の自分にできること」から始めることです。焦らず、ステップを踏んでいけば、必ず自信は少しずつ戻ってきます。


周囲の理解と自分自身のケアのバランス

再就職に向けた準備を始めるとき、もう一つ大きなテーマとなるのが「周囲の理解」と「自分自身のケア」のバランスです。どちらかに偏ってしまうと、うまく再出発できないこともあります。

1. 家族や友人との関係

家族や親しい友人は、あなたにとって大切な支えです。しかし時には、善意からの言葉がプレッシャーになることも。「早く働いたほうがいいんじゃない?」「そろそろ復帰できるでしょ」といった言葉が重く感じることもあるでしょう。

そんなときは、「今はまだ準備期間であること」「焦って再発してしまうリスクがあること」をしっかり伝えるようにしましょう。感情的にならず、事実として伝えることがポイントです。また、カウンセラーや医師などの第三者の意見を共有するのも有効です。

2. 医師や支援者のサポート

再就職を考える段階では、主治医やメンタルヘルスの専門家との連携が非常に重要になります。医師の診断をもとに「働いてもよい状態か」を客観的に判断してもらい、無理のないステップを考えていくことが再発防止につながります。

また、最近では精神疾患を持つ人の就労を支援するNPOや自治体のサポートも増えています。就労支援センターや地域若者サポートステーションなどでは、あなたの体調や希望に合わせて段階的に復職を目指すプログラムが用意されています。

3. 自分の気持ちを尊重する

何より大切なのは、「周りがどう思うか」ではなく「自分がどう感じているか」です。無理に働こうとすると、また心と体のバランスが崩れてしまいます。自分のペースで、自分の声に耳を傾けながら動き出すことが、長い目で見て一番の近道になります。

また、自分の体験を整理する意味でも、日記をつけたり、信頼できる人に話したりするのも良い方法です。気持ちを外に出すことで、見えていなかった思いや、次に踏み出すヒントが見つかることもあります。


うつ病を経験したからこそ、慎重になるのは当然のことです。しかし、それは「成長できなかった」ということでは決してありません。むしろ、そうした経験を乗り越えようとしているあなたは、すでに新しい力を身につけはじめているのです。

就労支援とは?種類と特徴を知ろう

公的機関の支援内容(ハローワーク・地域若者サポートステーションなど)

うつ病を経験した後の再出発を考える上で、「就労支援」という言葉をよく目にするようになります。けれど、「実際にどんな支援があるのか分からない」「自分に合うサービスが分からない」という声も多く聞きます。

ここでは、特に新卒や20代の方が利用しやすい公的機関の支援を中心に、種類や特徴を解説していきます。

1. ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークは国が運営する職業紹介機関で、全国どこでも利用可能です。一般的には失業保険や求人紹介のイメージが強いですが、実はメンタル面に課題を抱える人へのサポートも用意されています。

主なサポート内容:

  • 専門職員によるキャリアカウンセリング
  • 精神障害者保健福祉手帳を持っている方への「障害者枠」での就職支援
  • 各種職業訓練の紹介(例:パソコンスキル、ビジネスマナーなど)
  • 企業とのマッチング支援(面接同行なども一部対応)

特にメンタル不調からの回復段階では、どんな仕事ができるか分からないという人が多いため、キャリアカウンセリングを受けながらじっくり方向性を探っていくことが可能です。

2. 地域若者サポートステーション(サポステ)

「サポステ」は、15歳から49歳までの若者を対象とした、厚生労働省委託の支援機関です。仕事に就けていない若者が、社会と再びつながるためのサポートを提供しており、うつ病や引きこもり経験のある方も多く利用しています。

サポステの特徴:

  • 無料でキャリア相談・就活サポートが受けられる
  • カウンセラーや心理士によるメンタルケアも実施
  • コミュニケーション講座やグループワークを通じた「働く準備」ができる
  • 実習(ジョブトレーニング)先を紹介してもらえることも

また、スタッフの多くが福祉や心理の専門知識を持っており、「無理なく一歩ずつ」がコンセプトになっているのが大きな魅力です。履歴書の書き方や面接練習だけでなく、「社会に出る前の準備」をしっかり整えることができます。

3. 障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)

うつ病で障害者手帳を取得している場合、より専門的な支援が受けられるのが「障害者就業・生活支援センター(通称:ナカポツ)」です。ここでは、就業だけでなく、生活全体をサポートする視点で相談を受けてくれます。

具体的な支援内容:

  • 障害特性に配慮した職場の提案
  • 医療機関や福祉施設との連携サポート
  • 職場への定着支援(職場訪問、仲介など)
  • 金銭管理や生活リズムの相談支援

障害者雇用枠で働く場合、企業との相性や支援体制が非常に重要になります。ナカポツでは、本人・企業・医療機関の「三者連携」で就労を支えてくれるため、安心して職場に通える体制を整えることが可能です。


民間支援サービスやリワークプログラムの活用方法

公的な支援だけでなく、最近では民間の支援サービスも多様化しています。特に都市部では、精神的な不調からの回復と再就職をセットで支える「リワークプログラム」が広まりを見せています。

1. リワークプログラムとは?

リワークとは、「Re(再び)+Work(働く)」を意味する言葉で、復職や再就職を目指す人向けの支援プログラムのことです。主に医療機関や就労支援事業所、NPOなどが提供しています。

主な内容:

  • グループワークや認知行動療法によるメンタルトレーニング
  • 日常生活のリズムを整える訓練
  • 就労に必要なスキルや体力の向上
  • 卒業後の就職サポートや職場定着支援

リワークは、すぐに働き出すのではなく、「働ける状態をつくる」ことが目的です。医師の指導のもとで進められることが多く、安心して取り組める点が評価されています。

2. 民間転職サービス・特化型支援

一般的な転職エージェントの中にも、精神疾患やブランクのある人向けに特化した支援サービスを展開している会社があります。例としては「atGP」や「LITALICOワークス」などが有名です。

民間支援の特徴:

  • 就労実績が豊富で、企業とのつながりが強い
  • 求人のミスマッチを防ぐ面談が丁寧
  • 職場定着サポートが手厚い(アフターフォローあり)
  • オンラインで相談が可能なサービスも多数

ただし、民間サービスは地域によっては利用しづらいこともあり、費用がかかるケースもあります。公的支援と併用しながら、自分に合うものを選ぶことが大切です。

3. 自分に合った支援を選ぶポイント

「どの支援を使えばいいの?」という疑問は誰もが抱くものです。ここで大切なのは、自分の今の状況や希望をしっかり整理した上で、利用できる選択肢を比べてみることです。

選ぶ際のポイント:

  • 通いやすい場所にあるか(生活リズムに影響する)
  • 専門性やスタッフの雰囲気が合っているか
  • どのくらいの支援期間があるか(短期〜長期)
  • 自分のペースを大切にしてくれそうか

一つの支援だけで解決しようとせず、まずは「相談だけしてみる」ことから始めてみましょう。複数を見比べる中で、「ここなら安心して話せる」と思える場所が見つかるはずです。

就労支援を利用するメリットとデメリット

メリット:自己理解の促進と職場定着支援

うつ病を経験した方が再就職を目指す際、就労支援サービスを活用することで多くのメリットがあります。中でも「自己理解の促進」と「職場への定着支援」は、再スタートを成功させるための大きな柱となります。

1. 自分の特性に気づける

就労支援の中で行われるカウンセリングやグループワークでは、自分の「得意なこと」「苦手なこと」「ストレスを感じやすい状況」などを丁寧に整理する機会があります。うつ病を経て自己肯定感が下がっている人にとって、これはとても重要なプロセスです。

例えば、「人と話すのが怖いと思っていたけれど、少人数ならリラックスできることに気づいた」「単純作業だと気が散ってしまうけれど、少し創造性のある仕事だと集中できる」など、自分の“働きやすさ”に気づくことで、無理のない仕事選びができるようになります。

こうした気づきは、支援員やカウンセラーとの対話の中で自然に生まれてくるものです。ひとりで悩んでいたときには見えなかった視点が、客観的なフィードバックを受けることで広がっていきます。

2. 小さな成功体験を積める

就労支援では、いきなりフルタイムで働くのではなく、短時間の活動や実習、プログラム参加から少しずつステップを踏んでいきます。その中で「時間通りに通所できた」「人と話せた」「グループで役割を果たせた」といった、小さな成功体験が積み重なっていきます。

この積み重ねが自信の回復につながり、「また働けるかもしれない」という実感を生み出します。特にうつ病の経験者にとって、自信の有無は職場復帰の可否を左右する大きな要素です。

3. 職場でのサポートが受けられる

就労支援の中には、「職場定着支援」と呼ばれるサポートがあります。これは、実際に働き始めたあとも、定期的に支援員が職場を訪問したり、本人と面談を行ったりして、トラブルや悩みに対処する仕組みです。

例えば、「上司とのコミュニケーションが難しい」「業務が思ったより負担になっている」といった悩みも、支援員が間に入って調整してくれることで、大きな問題に発展するのを防ぐことができます。

このような定着支援は、長期的に働き続けるためには欠かせない要素です。特に障害者雇用枠での就労や、就労移行支援を経ての再就職では、このフォローが丁寧に行われることが多く、安心感につながります。

4. 一人では得られない情報が手に入る

支援機関を通じて就職活動をすることで、一般には出回らない求人情報や、精神的な配慮がある職場の情報を得ることも可能です。また、面接での伝え方や履歴書の書き方など、「うつ病のことをどう説明すればいいか」といった具体的なアドバイスも受けられます。

これはネットの情報や書籍では得にくい、“現場の生きた情報”です。リアルなアドバイスをもらうことで、不安が軽減され、準備に集中できるようになります。


デメリット:選択肢の制限や進行の遅さ

一方で、就労支援にはいくつかのデメリットもあります。支援を受けることが必ずしもすべての人に合うとは限らないため、利用する前にその特徴を理解しておくことが大切です。

1. 支援の進み方がゆっくりな場合も

就労支援は「本人のペースに合わせて進める」ことを重視しているため、あえてスローペースで段階的に支援を行うことがあります。焦って早く働きたいと考えている人にとっては、「もっと早く就職したいのに」と感じる場面もあるでしょう。

また、支援機関によっては人数制限があったり、待機期間があったりすることもあります。「支援を受けたいと思ったのに、数か月先まで予約が取れない」といった声も少なくありません。

そのため、就職活動を急いでいる場合は、公的機関と民間サービスを併用するなどして、選択肢を広げておくのが賢明です。

2. 希望職種に制限があることも

特に障害者雇用枠や就労移行支援を利用する場合、求人の内容が限定的になることがあります。事務作業や軽作業が中心になりやすく、「クリエイティブな仕事がしたい」「接客や営業に挑戦したい」といった希望がある場合には、マッチする求人が少ないと感じるかもしれません。

もちろん、すべてがそうというわけではありませんが、支援を通じて就職する際には「自分の希望と支援の内容が一致しているか」をしっかり確認することが必要です。

3. 周囲の理解が得られにくい場合も

就労支援に通うこと自体を、「甘えている」「働く気がない」と誤解されてしまうこともあります。特に家族や知人がメンタルヘルスに理解がない場合、支援機関に通っている時間を「無駄な時間」と捉えてしまうこともあるのです。

このような場合には、支援員やカウンセラーと相談しながら、第三者の意見として家族に説明してもらう方法もあります。支援を続けるためには、ある程度の「周囲との距離感」も必要になってくる場面があるでしょう。

4. サービスの質にばらつきがある

就労支援機関やスタッフの質には、正直なところ差があります。経験豊富で親身な対応をしてくれるスタッフがいる一方で、「ただ形式的な支援をしているだけ」と感じられる場合もあるかもしれません。

支援機関は複数見学することが可能です。初めから一つに絞らず、「この人になら相談できそう」と感じるスタッフや、「ここなら安心して通えそう」と思える場所を探すことが重要です。


メリット・デメリットを見極めて、賢く利用しよう

就労支援はうまく活用すれば、大きな味方になります。ただし、自分に合っていないサービスを無理に使い続けることで、かえってストレスになってしまうこともあります。

最初は「見学だけ」や「相談だけ」で構いません。支援を受ける=就職を急がされる、というわけではないので、自分のタイミングで進めることが可能です。

複数の支援機関を比べてみたり、口コミや体験談を参考にすることで、自分に合った支援を見つける近道になるでしょう。

再出発に向けた仕事選びの考え方

自分の価値観と向き合うワーク選び

うつ病からの回復後に再び働くことを考えたとき、何より大切なのは「どんな仕事をするか」ではなく、「どんな働き方が自分にとって心地よいか」を見つめ直すことです。かつての自分と同じ道をたどるのではなく、今の自分に合った仕事選びをしていくことが、再発の予防にもつながります。

1. 「やりたいこと」より「できること」から考える

多くの人が再就職を考える際、「やりたいことを見つけなければ」と焦ってしまいます。しかし、うつ病を経験した直後の段階では、「できること」や「無理なく続けられそうなこと」から考えるのが現実的であり、安全です。

たとえば、以前は営業職で外回りをしていたけれど、今は人と接するよりも黙々と作業する方が気持ちが安定する…というように、自分の変化に気づくこともあるでしょう。そのような気づきを大切にし、今の自分の状態に合わせて仕事を選ぶことが長く続ける秘訣です。

また、「少し気になる」「挑戦してみたい」と感じた分野があれば、短期のアルバイトやボランティアから試してみるのもひとつの手段です。仕事に慣れる過程で、自然と「やりたいこと」が見えてくる場合も多いのです。

2. 自己分析ツールやワークを活用する

就労支援機関やキャリアカウンセラーのもとでは、自己分析ツールを使って自分の特性や価値観を整理するサポートが行われています。たとえば以下のような項目を一緒に掘り下げることが可能です。

  • どんな環境で安心して働けるか(例:静かな職場、人との関係性)
  • どんな働き方が体に負担が少ないか(例:通勤時間、座り仕事・立ち仕事)
  • どんな仕事内容に関心があるか(例:事務、創作、福祉、技術系など)
  • ストレスを感じやすい状況は何か(例:締切、競争、雑談、電話対応など)

こうした内省の時間は、うつ病で落ち込んだ自己評価を少しずつ回復させ、「これならできるかも」と思える自信を取り戻す過程にもなります。

3. 自分の価値観に合う職場環境を探す

職場の環境や文化が合わずにストレスを抱える人はとても多く、再就職では仕事内容と同じくらい「どんな職場で働くか」が重要です。たとえば、チームで働くことが苦手な人にとっては個人作業中心の職場の方が向いているかもしれませんし、厳しい上下関係が苦手な場合はフラットな組織文化が安心材料になるでしょう。

就職活動では、面接のときに会社の雰囲気や制度についてもよく質問するようにしましょう。また、口コミサイトや支援機関からの紹介で職場の実態を知ることも、ミスマッチを防ぐ方法のひとつです。


働き方(正社員・時短・在宅など)の選択肢

近年、働き方の多様化が進んでおり、「正社員一択」という時代ではなくなりました。自分の体調や生活スタイルに合わせて、無理のない働き方を選ぶことが可能です。ここでは代表的な働き方をいくつか紹介します。

1. 正社員として働く

最も安定した雇用形態であり、収入や社会保険の面で安心感があります。ただし、責任や勤務時間の長さが負担になるケースもあるため、「体力やメンタルがある程度安定してきた段階」で検討するのがおすすめです。

正社員でも、障害者雇用枠であれば業務内容や勤務時間の配慮が得られることがあります。就職前に「どこまで配慮が受けられるか」を企業側としっかり確認しておくことがポイントです。

2. パート・アルバイト・契約社員としてスタート

再出発の第一歩としては、短時間のパートやアルバイト、契約社員という働き方も有効です。週2~3日からスタートして、少しずつ勤務日数を増やしていくことも可能ですし、「まずは働くことに慣れる」という意味では非常に効果的です。

特にうつ病からの回復段階では、日々の変化に慣れるまでに時間がかかるため、段階的なステップアップを視野に入れて働き方を調整することが大切です。

3. 在宅ワーク・リモート勤務を選ぶ

新型コロナウイルス以降、リモートワークが広く普及したことで、自宅で働くという選択肢も現実的になりました。人間関係や通勤が負担になりやすい方にとっては、在宅勤務は非常に相性が良い働き方です。

クラウドソーシング(ライティングやデザイン、翻訳など)や、在宅可能な事務職などは探しやすくなっており、スキルを生かせる分野も増えています。ただし、自宅で仕事をする場合は自己管理能力が求められるため、最初はサポート体制が整っている企業を選ぶと良いでしょう。

4. 福祉的就労・就労継続支援(A型・B型)

うつ病が長期化し、一般企業での就職がすぐには難しい場合は、「就労継続支援」という福祉サービスも検討できます。A型は雇用契約がある形での支援、B型はより生活支援に近い作業所的な位置づけです。

これらの施設では、体調に配慮したペースで働きながら社会との接点を持つことができます。時給は最低賃金以下のこともありますが、「働くリズムを取り戻す」「人との関係を築く」という面ではとても意義のある選択肢です。


無理のない「今のベスト」を選ぼう

再出発に向けた仕事選びで大切なのは、「理想の仕事に一発で就くこと」ではなく、「今の自分にとって最も無理のない選択をすること」です。キャリアは一度決めたら変えられないものではなく、途中での方向転換や再挑戦は十分に可能です。

今選ぶ仕事が将来につながる第一歩になる可能性もありますし、もし合わないと感じたら、また別の道を考えることもできます。焦らず、自分の声に耳を傾けながら、「ここから始めてみよう」と思える選択をしていきましょう。

就労支援から再就職までのステップ

支援利用開始から職場復帰までの流れ

就労支援を活用して再就職を目指す場合、「実際にどんな流れで進んでいくのか?」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、一般的なステップとその中で意識しておきたいポイントを詳しくご紹介します。

1. 相談・見学からスタート

最初の一歩は「相談」から始まります。就労支援機関は基本的に、初回の相談を無料で受け付けているところが多く、「まずは話を聞いてみたい」という軽い気持ちでOKです。

支援内容やプログラムを聞いてみて、自分に合いそうだと感じたら、見学や体験参加へ進みます。この段階で無理に契約や通所を決める必要はありません。大事なのは「ここなら安心して話せそう」「焦らず進めそう」と感じられるかどうかです。

複数の機関を比較して、雰囲気や支援スタイルを見極めるのもおすすめです。

2. 利用登録とプラン作成

支援機関を利用することが決まったら、利用登録を行います。多くの機関では、最初に面談を行い、「どんなことに困っているか」「どんな仕事を目指したいか」「1週間の過ごし方は?」などの情報を丁寧にヒアリングしてくれます。

その上で、一人ひとりに合った支援プランが作成され、無理のないスケジュールで通所がスタートします。週1〜2日から徐々に増やしていくなど、段階的な支援が特徴です。

医師やカウンセラーと連携しながらプランを調整していくことで、体調の波に合わせた支援が受けられるのも安心材料のひとつです。

3. 日常リズムの安定とスキル習得

就労支援の初期段階では、「働く前の土台づくり」が重視されます。たとえば以下のような内容が中心です。

  • 毎日決まった時間に起きる・通所する
  • ビジネスマナーや報連相(報告・連絡・相談)の練習
  • 自己理解を深めるワークやストレス対処法の学習
  • パソコンスキルや作業訓練などの基礎トレーニング

この時期は、「いきなり働くのではなく、まず生活リズムを整える」ことが目的です。焦らず、自分のペースで少しずつ習慣を取り戻していくことが、結果的に職場復帰を成功させる近道になります。

4. 実習・職場体験を通じて適性を確認

支援機関によっては、企業での実習や職場体験の機会を提供している場合もあります。これは、実際の職場で一定期間(1日〜数週間)働いてみることで、自分に合う職場や仕事内容を確認できる貴重なチャンスです。

体験してみて「この仕事ならできそう」と感じたり、「やっぱり体力的に難しい」と判断したりすることができます。このような気づきは、求人を選ぶ際の基準にもつながります。

企業にとっても、実習を通じて求職者の様子を見た上で採用を判断できるため、相互理解が深まり、採用後のミスマッチが起きにくくなります。

5. 求人選びと応募書類の準備

生活リズムやスキルが整ってきたら、いよいよ求人を探す段階に入ります。支援員と相談しながら、自分に合った求人を探し、応募書類の作成や面接の準備を進めていきます。

うつ病の経験をどう説明するか、病歴やブランクをどう扱うかは、多くの人が悩むポイントです。しかし、支援員と一緒に準備することで、事実を正直に伝えつつも前向きな表現に整えることが可能です。

例:
NG:「うつで長く休んでいました」
OK:「体調不良により休養期間を設け、現在は再就職に向けてリズムを整えながら準備を進めています」

また、障害者雇用枠を活用する場合は、面接時にどのような配慮が必要かも明確に伝えることが大切です。

6. 面接・採用・就職決定

面接では、支援員が同行してくれることもあり、心強いサポートが受けられます。企業側も支援機関を通じた紹介であれば、最初からある程度配慮がある前提で面接を進めてくれることが多いです。

採用が決まった後も、すぐにフルタイムで働くのではなく、慣らし勤務や研修期間を設ける企業もあります。こうした段階的な就労ができることで、体調の再悪化を防ぎながら安心して職場に慣れていくことが可能です。


実際の体験談と成功事例

就労支援を通じて再就職を果たした人たちは、どんな道のりをたどってきたのでしょうか。ここでは、実際の体験談をもとに、再出発のヒントになるようなエピソードを紹介します。

体験談1:25歳女性・事務職に再就職

大学卒業後に就職したIT企業で長時間労働が続き、うつ病を発症。1年の休職を経て退職し、地域の若者サポートステーションに相談。週2回の通所から始め、徐々に生活リズムを取り戻す。カウンセリングで「人のサポートが好き」という自己理解を深め、障害者雇用枠で一般企業の事務職に就職。現在は週5日の勤務を継続中。

コメント:
「最初は働くこと自体が怖かったけれど、支援員さんと話していくうちに『焦らなくていいんだ』と思えるようになりました。自分のことを理解してくれる職場に出会えたのが大きかったです。」

体験談2:28歳男性・在宅ライターとして独立

営業職で激務を経験し、体調を崩して休職。就労移行支援を通じて自己理解とリズムの安定に取り組む中で、文章を書くことが得意であることに気づき、ライティングのスキルを習得。クラウドソーシングで実績を積み、在宅フリーランスとして独立。現在は、月15万円ほどの収入を安定して得ている。

コメント:
「通勤しないだけで、こんなに体も心も楽になるとは思っていませんでした。自分の強みを見つけて、それを仕事にできたのが自信につながっています。」


一歩ずつ、確実に前へ

支援を受けながらの再就職は、確かに時間がかかることもあります。しかし、その分、焦らず自分のペースで進めることができ、再発のリスクも低く抑えられます。

就労支援は、単なる「就職サポート」ではなく、「人生の再スタートを一緒に考えてくれる存在」です。自分ひとりで抱え込まず、誰かと一緒に考え、動き出すことで、新しい働き方を見つけることができるでしょう。

まとめ/焦らず、自分の歩幅で再出発を

うつ病を経験した後の再就職は、体力・気力・自信のいずれもが揺らぎやすいデリケートな時期です。「また同じような状況になったらどうしよう」「ちゃんと働ける自信がない」といった不安を抱えるのは、とても自然なことです。だからこそ、一人で無理に頑張ろうとせず、支援を上手に活用することが重要です。

本記事では、うつ病を経た後の再出発に向けて、就労支援の種類と活用方法、メリット・デメリット、そして仕事選びの考え方から就職までのステップを体系的に紹介しました。支援を利用することで得られる「自己理解」「小さな成功体験」「職場定着サポート」は、再発のリスクを抑えながら新しい働き方を築くための大きな力になります。

また、「正社員」だけでなく、「パート」「在宅」「就労継続支援」など、多様な働き方の選択肢が広がっている現代では、自分にとって最も無理のない“今のベスト”を選ぶことが何より大切です。理想の職に一足飛びで就くことを目指すより、まずは生活リズムを整え、小さな一歩を踏み出すこと。その積み重ねが、やがて大きな自信と安定につながります。

そして何より、就労支援とは「再就職のためだけの場所」ではありません。自分の人生を見直し、心と体を整え、これからの未来を一緒に考えてくれる場所でもあります。迷いや不安がある方こそ、まずは相談という形から、ぜひ支援機関の扉をたたいてみてください。

あなたの歩幅で、あなたらしく働ける場所は、きっと見つかります。

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