主体性を持ってもらえる方法|新卒・若手社員のやる気を引き出す育成術

目次

主体性とは何かを理解する


主体性の基本的な意味

まず、主体性という言葉を正しく理解することが大切です。ビジネスシーンでは「主体性を持って動ける人材」が求められるとよく言われますが、そもそも主体性とは何でしょうか。主体性とは、他人から指示されるのを待つのではなく、自ら考えて行動を選び取る姿勢のことを指します。つまり、受け身ではなく、自分の意思で物事を進めようとする態度です。

ただし、主体性は「自己中心的に好き勝手に行動すること」とは異なります。社会人としての主体性とは、組織やチームの目標を理解したうえで、自分なりにできることを考え、行動に移すことです。たとえば、新しいプロジェクトに配属されたときに「このタスクを誰かに言われるまで待とう」と考えるのではなく、「まずは過去の資料を確認して、必要な情報を整理しよう」と自発的に動けることが主体性にあたります。

また、主体性は「積極性」と混同されがちです。積極性は「とにかく行動して前に出る」ことを意味する一方で、主体性は「自分で考え、自分の意思で選択して動く」点が特徴です。たとえば会議中に発言する場合でも、積極性は「とにかく発言してみる」ことですが、主体性は「議題を理解したうえで、自分の考えを整理し、必要だと判断して発言する」ことになります。

つまり、主体性の本質は「意思を持ち、自分で判断して行動する力」です。これは社会に出たばかりの新卒や若手社員にとって、最初から備わっているとは限りません。むしろ経験が少ないからこそ、どう動けばいいのかわからず、受け身になりがちです。そのため、上司や先輩が「主体性とはどういうことか」を明確に伝え、行動のモデルを見せていくことが大切になります。


主体性と自主性の違い

次に、主体性とよく混同される「自主性」との違いについて整理してみましょう。

自主性は、自分の判断で行動を進めるという意味では主体性に似ています。ただし、自主性は「自分のやりたいことを自分の判断で進める」側面が強いのに対し、主体性は「状況や目的を理解したうえで、必要な行動を自ら選び取る」ことを含みます。

たとえば、ある新人が「英語の勉強をしたい」と考えてTOEICの勉強を自主的に始めたとします。これは自主性の行動です。しかし、仕事の中で海外顧客との対応が必要であると理解し、「チームのために自分が英語力を伸ばすことが役立つ」と考えて行動を起こしたのであれば、それは主体性といえます。

また、自主性は個人の関心や好奇心に基づく行動になりやすいのに対し、主体性は「周囲の状況を踏まえて動けるか」が問われます。そのため、社会人にとって求められるのは「自主性よりも主体性」である場合が多いのです。

新卒や若手社員は、どうしても「自分のやりたいこと」を優先しがちです。しかし、ビジネスの現場では「やりたいこと」だけでなく「やるべきこと」を見極めて行動する力が重要です。主体性を持つということは、「組織やチームの一員として、自分に何ができるかを考え、自ら動く力」を身につけることにほかなりません。

つまり、自主性が「自分中心の行動」であるのに対し、主体性は「周囲との関わりを踏まえた行動」であるという違いがあります。この理解を新卒や若手社員に伝えることが、主体性を育む第一歩になるでしょう。

主体性が重要とされる理由


組織における主体性の価値

現代のビジネス環境では、変化のスピードが非常に速くなっています。新しいテクノロジーが次々と登場し、顧客のニーズも刻々と変わっていきます。このような環境下では、上司の指示を待つだけの「受け身型社員」では、組織としてスピード感を持って対応できません。そのため、主体的に動ける人材が企業にとって欠かせない存在となっています。

主体性のある社員は、問題が発生したときに「誰かが解決してくれるまで待つ」のではなく、「自分にできることは何か」を考えて行動を起こします。例えば、クライアントから急な要望が入った際、単に「上司に確認してからでないと動けません」と答えるのではなく、まずは自分で過去の事例を調べたり、できる範囲で対応案を作成したりします。こうした姿勢は組織全体の信頼を高め、結果的に上司や同僚の負担を減らすことにつながります。

また、主体性を持つ社員は新しい価値を生み出すことにも長けています。主体的に考えることで、与えられたタスクをこなすだけではなく、「どうすればもっと効率的にできるか」「新しい方法を試せるのではないか」といった視点が芽生えるのです。このような行動は、業務改善や新しいアイデアの創出に直結し、組織全体の成長を後押しします。

さらに、主体性はチームワークの質を高めます。自ら考えて動ける人が増えると、互いに補い合いながら業務を進めやすくなり、チーム全体が自律的に機能するようになります。上司がいなくてもチームが回る状態が実現できれば、組織の持続的な成長にとって大きな強みとなります。

このように、主体性は単なる「自己成長のためのスキル」ではなく、組織の競争力を高めるための重要な資質だといえるのです。


新卒・若手社員に求められる背景

では、なぜ特に新卒や若手社員に主体性が求められるのでしょうか。その理由はいくつかあります。

第一に、社会の構造が変化していることが挙げられます。従来は「上司が指示し、部下がそれに従って動く」というピラミッド型の働き方が一般的でした。しかし現在は、フラットな組織やプロジェクト型の働き方が増えています。このような環境では、指示待ちの姿勢では力を発揮できず、若手社員であっても主体的に役割を果たすことが求められるのです。

第二に、若手社員の成長スピードが企業の競争力に直結するからです。新人が早く主体性を持って動けるようになれば、戦力化のスピードが速まり、組織の成果に直結します。逆に、指示待ちのまま数年を過ごすと、本人も組織も成長の機会を失ってしまいます。

第三に、個人のキャリア形成の観点もあります。これからの時代は、一つの会社に一生勤め上げるよりも、転職や副業を通じてキャリアを積み重ねる働き方が主流になりつつあります。そのため、若いうちから「自分で考え、選び、動ける力=主体性」を持つことが、キャリアを広げる武器になります。主体性がある人は、どの職場でも柔軟に適応でき、チャンスをつかみやすいのです。

最後に、世代間の価値観の違いも背景にあります。上の世代が「言われたことをしっかりやるのが評価される」と考えていたのに対し、今の若い世代は「自分の意見や存在を認めてもらいたい」と感じる傾向があります。この違いを理解したうえで、上司や先輩が「主体性を引き出す指導」を行うことが重要になります。

つまり、新卒や若手社員に主体性を求めるのは、単なる「理想論」ではなく、現代の働き方やキャリア形成の現実に即した必然なのです。

主体性を引き出すコミュニケーション方法


質問力を使って考えさせる

新卒や若手社員に主体性を身につけてもらううえで、上司や先輩が意識すべきことの一つが「質問力」です。多くの場合、若手社員は「正解を教えてもらいたい」という気持ちから、分からないことをすぐに聞いてしまいがちです。そのときに、上司がすぐに答えを与えてしまうと、「考える前に聞けばいい」と学習してしまい、主体性を育むチャンスを逃してしまいます。

そこで効果的なのが、「すぐに答えを言わずに質問を返す」というアプローチです。たとえば、部下から「この資料はどう作ればいいですか?」と聞かれたときに、すぐに作成方法を教えるのではなく、「まずどういう目的の資料だと思う?」「誰が見る資料かな?」「自分ならどんな構成にする?」と問いかけます。これにより、部下は自分で考える習慣をつけられます。

このとき大切なのは、質問が「詰問」にならないようにすることです。問いかけが「なんでそんなことも分からないの?」というトーンになると、部下は萎縮してしまい、かえって主体性を失ってしまいます。あくまで「一緒に考えるための問い」として投げかけることがポイントです。

さらに、質問は具体的かつ段階的に行うのが効果的です。いきなり「じゃあ全部考えて」と丸投げするのではなく、「まず目的を考える」「次にターゲットを考える」といったようにステップを示すと、若手社員も安心して思考を深められます。こうしたサポートを繰り返すことで、自分で考える力が少しずつ育ち、主体性が自然と引き出されていきます。


否定しないフィードバックの大切さ

もう一つ重要なのが、フィードバックの仕方です。主体性を伸ばすには、部下が自分の考えを安心して表現できる環境が必要です。そのためには、たとえ答えが完璧でなくても「まず意見を出したこと」を肯定的に受け止める姿勢が求められます。

例えば、若手社員が「こんなやり方はどうでしょうか?」と提案してきたとします。その内容が不十分だったとしても、最初に「提案してくれてありがとう」「その視点は面白いね」と肯定することが大切です。いきなり「それは違うよ」と否定してしまうと、「どうせ自分の考えなんて通らない」と思わせてしまい、次から意見を出さなくなってしまいます。

そのうえで改善点を伝えるときには、「でもそれだと○○のリスクがあるから、こうするともっと良くなるんじゃないかな?」というように、相手の意見をベースにしてフィードバックするのが効果的です。これにより、若手社員は「自分の考えが尊重されたうえで成長につながるアドバイスをもらえた」と感じ、次も積極的に発言しようという意欲につながります。

また、フィードバックの頻度も重要です。主体性は一度の経験で身につくものではなく、日々のやり取りの中で少しずつ育っていくものです。だからこそ、小さな場面でも「自分で考えたこと」に対して肯定と改善のフィードバックを繰り返すことが、成長を後押しします。

さらに、成功体験を共有することも効果的です。たとえば「君が先に調べてくれたおかげで助かったよ」と具体的に伝えると、部下は「自分の主体的な行動が役に立った」と実感できます。この小さな成功体験の積み重ねが、主体性を育てる大きな原動力になるのです。

主体性を育てる環境づくり


挑戦できる機会の提供

主体性は「頭の中で考えるだけ」では育ちません。実際に自分で判断し、行動する経験を積むことで少しずつ磨かれていきます。そのため、若手社員にとって挑戦できる機会を与えることが非常に重要です。

たとえば、新人であっても「小規模なプロジェクトの進行役を任せる」「顧客との打ち合わせで一部を担当させる」といった場を設けることが効果的です。こうした経験を通じて、「自分の判断が結果に影響する」という実感を持てるようになります。

ただし、このときに大切なのは「いきなり大きな責任を押しつけない」ことです。経験の浅い新卒にいきなり大きなプロジェクトを任せても、失敗のリスクが高く、本人の自信を失わせかねません。適度な難易度のタスクを設定し、成功体験を積ませることがポイントです。

また、挑戦の機会を与えると同時に、上司や先輩が「見守る姿勢」を示すことも欠かせません。部下が困っているときにすぐに手を出すのではなく、「どう考えている?」「どこでつまずいている?」と問いかけながらサポートすることで、安心感を持ちつつ自らの判断力を磨くことができます。

つまり、「挑戦できる場 × 適切なサポート」が、主体性を育む土台になるのです。


安心して意見を言える職場文化

もう一つ、主体性を伸ばすために欠かせないのが「心理的安全性」のある職場環境です。心理的安全性とは、簡単に言えば「自分の意見を言っても否定されたり、評価が下がったりしないと信じられる状態」を指します。

もし職場で「意見を言うと否定される」「失敗すると責められる」という雰囲気が強ければ、若手社員は主体性を発揮しようとはしません。逆に、「失敗しても挑戦したこと自体を評価する」「意見を出したことをまず認める」という環境であれば、安心して自分の考えを表現できるようになります。

具体的には、会議の場で若手社員の発言があったら、まず「いい意見だね」「その視点は新しい」と肯定的な反応をすることが大切です。そのうえで、改善点や追加のアイデアを一緒に考えると、本人は「自分の意見が役立った」と実感できます。

さらに、上司や先輩自身が「完璧ではない姿」を見せることも効果的です。「自分も新人のときは失敗した」「実は今でも試行錯誤している」といったエピソードを共有することで、部下は「失敗しても大丈夫なんだ」と安心し、思い切って行動できるようになります。

また、職場全体で「互いの意見を尊重する文化」をつくることも欠かせません。特定の人の意見ばかりが通る環境ではなく、誰の発言も大切に扱われる場であることが、主体性を後押しします。

このように、安心して意見を出せる職場文化があってこそ、若手社員は挑戦し、自らの意思で動こうとするのです。

主体性を高める具体的な指導法


小さな成功体験を積ませる

主体性を育むには、日々の経験の中で「自分で考えて行動したことが成果につながった」という実感を持たせることが欠かせません。そのために有効なのが「小さな成功体験」を意識的に積ませることです。

新卒や若手社員にとって、いきなり大きな成果を出すのは難しいものです。しかし、小さなチャレンジを繰り返し、成功を体験することで「自分にもできる」「次はもっとやってみよう」という前向きな気持ちが生まれます。これが主体性を引き出す原動力になります。

例えば、会議で一部の資料説明を任せる、簡単な業務改善アイデアを提案させる、顧客対応のメール文を作成させるなど、日常業務の中で達成感を得られるタスクを与えることが効果的です。そしてその結果を評価し、フィードバックすることで本人の自信が強化されていきます。

ここで重要なのは、成果が完璧でなくても「挑戦したこと自体」を評価することです。小さな行動でも「よく考えてくれたね」「その視点は新しいね」と声をかけるだけで、次の行動意欲につながります。逆に、結果だけを厳しく評価すると「どうせやっても無駄」と思わせてしまい、主体性が失われてしまうので注意が必要です。

さらに、成功体験を「共有」することも効果的です。「○○さんが自ら提案してくれたおかげで助かりました」とチーム内で伝えることで、本人は誇りを感じ、他のメンバーも「自分も挑戦してみよう」と思いやすくなります。成功をチーム全体の学びに変えることが、職場全体の主体性を底上げするカギとなります。


責任を持たせて任せるポイント

主体性を育てるうえで、もう一つ大切なのが「責任ある仕事を任せる」ことです。人は責任を持つことで「自分で判断しなければならない場面」に直面し、その中で主体性を発揮するようになります。

ただし、責任を与える際には段階的に進めることが重要です。最初から大きな案件を丸ごと任せるのではなく、まずは「部分的な責任」を担わせるのが適切です。たとえば、会議全体の進行役を任せるのではなく、会議中の議事録作成や、一部のアジェンダ進行を担当させるといった具合です。こうすることでプレッシャーを適度に調整し、失敗してもフォローできる範囲に収めることができます。

また、責任を与える際には「ゴールを明確に伝える」ことが欠かせません。ゴールが曖昧だと、若手社員は「どうすればいいか分からない」と迷い、主体性を発揮できません。目的と期待される成果を明確に示したうえで、「やり方は自分で考えていい」と伝えることで、自ら工夫する余地を残すことがポイントです。

さらに、任せた後は「過度に口を出さない」姿勢も大切です。上司が逐一指示をしてしまうと、結局「言われたことをやるだけ」の状態に戻ってしまいます。困ったときには相談に乗るが、基本は見守る。このバランスが、部下の成長を加速させます。

最後に、責任を持たせた結果については「プロセスも含めて評価する」ことが重要です。結果が成功だったとしても、もし指示待ちで進めたのであれば主体性は育ちません。逆に、結果が完璧でなくても「自分で考え、工夫した点」があればそこをしっかり評価する。これにより、主体的に動くことそのものが価値ある行動だと理解してもらえます。

このように「小さな成功体験」と「段階的に責任を持たせる仕組み」を組み合わせることで、若手社員の主体性は着実に育っていくのです。

まとめ

主体性を持ってもらうためには、まずその意味を正しく理解してもらうことから始まります。主体性とは単なる積極性や自主性とは異なり、「状況を理解し、自分で考え、行動を選び取る力」です。これは現代の組織にとって欠かせない資質であり、新卒や若手社員の早期成長にも直結します。

主体性を育てるために有効なのは、上司や先輩の「関わり方」と「環境づくり」です。答えを与えるのではなく質問で考えさせる、否定せずにフィードバックする、挑戦の場を用意する、安心して意見を出せる雰囲気を整える。こうした積み重ねが、若手社員に「自分の意思で動いていいんだ」という実感を与えます。

さらに、「小さな成功体験を積ませる」「責任を段階的に任せる」といった具体的な指導法を組み合わせることで、主体性は確実に育まれていきます。ポイントは、完璧な結果ではなく「考えて行動したこと自体」を評価すること。そうすることで、本人は自信を持ち、次の挑戦へとつながっていきます。

主体性は一朝一夕で身につくものではありません。しかし、上司や先輩が意識して関わり続けることで、必ず育っていきます。そして、主体性を持った若手社員が増えることで、組織はより強く、柔軟で、活力あるチームへと成長していくのです。

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