DE&IとD&Iの違いを理解した企業の選び方:新卒が知っておきたいポイント

目次

DE&IとD&Iの違いとは?

近年、多くの企業が取り組む「DE&I(Diversity, Equity, and Inclusion)」と「D&I(Diversity and Inclusion)」ですが、これらの概念は似ているようで大きな違いがあります。新卒として企業選びをする際には、この違いを理解し、それぞれの取り組みが企業にどのように根付いているかを見極めることが重要です。

DE&IとD&Iの定義

まず、「D&I」とは、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)を指します。ダイバーシティは性別、国籍、年齢、障がいの有無、性的指向など、人々の多様な属性や背景を尊重することです。一方で、インクルージョンは、そうした多様な人々が同じ環境で平等に参加し、それぞれが持つ価値を発揮できる状態を意味します。

一方、「DE&I」は、D&Iに加えてエクイティ(公平性)が含まれます。エクイティは、単に平等であることを超えて、一人ひとりの異なるニーズや背景に配慮し、公平な支援や機会を提供することを指します。たとえば、同じ教育プログラムを全員に与えることは平等かもしれませんが、特定の学びの機会を得られなかった人に補足教育を提供することがエクイティにあたります。

それぞれが企業活動に与える影響

D&Iの取り組みが進む企業では、多様な視点を活かした商品開発やサービス改善が可能です。これにより、従業員の満足度向上やイノベーションの促進が期待されます。

DE&Iに取り組む企業はさらに一歩進み、全ての従業員が公平に評価され、適切にサポートされる環境を構築します。これは従業員満足度だけでなく、社会的責任を果たす企業イメージの向上にもつながります。

最近のトレンドとしての注目理由

近年、グローバル化や社会的多様性の拡大に伴い、DE&Iの重要性が高まっています。また、社会課題として注目されるジェンダーギャップや経済的不平等の解消も、企業の取り組み次第で大きなインパクトを与えられます。このため、DE&IやD&Iを推進することは、企業にとって競争力を維持するための不可欠な戦略と言えます。

加えて、若い世代の労働者は企業の社会的責任や文化への共感を重視する傾向があります。そのため、新卒採用でもDE&Iを強化する企業は求職者からの関心を集めやすくなっています。

DE&Iが重視される背景

DE&Iが注目される背景には、社会的・経済的な変化や価値観の進化が挙げられます。この章では、ダイバーシティ、インクルージョン、エクイティがそれぞれ重視される理由について具体的に掘り下げていきます。

ダイバーシティの重要性とその進化

ダイバーシティ(多様性)が企業に求められる背景には、従来の画一的な組織運営では現代の複雑な社会課題に対応できないという現実があります。たとえば、グローバル化が進む中で、多様な市場や顧客層に対応するには、従業員自体が多様である必要があります。

多様性が確保されると、企業内で異なる価値観や経験が交わり、新たなアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。マッキンゼーの調査では、ダイバーシティが高い企業ほど財務パフォーマンスが優れていることが示されています。つまり、多様性の確保は単なる理想論ではなく、ビジネスの成功に直結する要素と言えます。

インクルージョンの具体的な実践例

ダイバーシティを確保するだけでは十分ではありません。次に重要なのがインクルージョン(包括性)です。多様なバックグラウンドを持つ従業員が「ただ存在する」だけでなく、それぞれが意見を発し、価値を発揮できる環境が求められます。

たとえば、会議で意見が偏りがちな場合に、ファシリテーターが全員の発言機会を均等にする工夫をすることや、リモートワーク環境でも従業員が孤立しないようにオンラインでの接触機会を増やす施策が挙げられます。こうした実践により、個人のパフォーマンスが向上し、組織全体の生産性も高まります。

エクイティが求められる社会的要因

エクイティ(公平性)がDE&Iに含まれるようになった背景には、平等だけでは不十分である現実があります。社会的な格差や不平等は、見えない形で多くの人々に影響を及ぼしています。このような背景を考慮した施策がなければ、多様性を活かすことも包括性を実現することも難しいのです。

具体例として、ジェンダーギャップに対する取り組みが挙げられます。女性社員が働きやすい環境を提供するために育児支援や柔軟な勤務時間を導入する企業は増えていますが、エクイティの視点からはさらに一歩踏み込む必要があります。たとえば、昇進機会や賃金の公平性を確保することが重要です。

また、障がいを持つ従業員への配慮として、職場環境のバリアフリー化やアシスティブテクノロジーの導入もエクイティの一環です。これらの具体的な取り組みが、真の意味での公平性を実現する鍵となります。

DE&Iを重視する企業の特徴

DE&Iを推進している企業を見極めるには、具体的な特徴を知ることが重要です。この章では、企業の外部から確認できる情報や、実際に社内でどのように取り組みが進んでいるかをチェックするポイントを紹介します。

公開情報で見る企業の姿勢

DE&Iを重視する企業は、公式サイトや採用ページで積極的にその取り組みを発信していることが多いです。以下のようなポイントに注目すると、その企業がどれだけ真剣にDE&Iに取り組んでいるかを判断できます。

  1. CSRやサステナビリティ報告書
    • 社会的責任や持続可能性に関する報告書の中に、DE&Iに関する具体的な目標や進捗状況が記載されている場合があります。
  2. 採用ページでのメッセージ
    • 「多様な人材を歓迎します」「公平な評価制度を導入しています」などの具体的なメッセージがあるか確認しましょう。
  3. 認定マークや受賞歴
    • たとえば、「働きがいのある会社ランキング」や「LGBTQフレンドリー企業」の認定を受けている企業は、取り組みを外部に評価されていると考えられます。

組織内文化や実績のチェック方法

外部の情報だけではなく、組織内の実際の文化も重要です。企業のDE&Iの取り組みが形だけのものでないことを確認するには、次の方法を試してみましょう。

  1. 口コミサイトを活用する
    • 社員の口コミが投稿されるサイトで、実際に働いている人々がDE&Iに対してどのように感じているかを調べてみましょう。特に「働きやすさ」「公正な評価」といったキーワードに注目すると良いです。
  2. OB・OG訪問を通じた情報収集
    • その企業で働いている人に直接話を聞くことで、公式の情報ではわからない内部の文化や実態を知ることができます。

社員の声から探る実態

DE&Iの取り組みが実際に機能しているかを確認するもう一つの方法は、社員の声を聞くことです。たとえば以下のような質問を意識すると、より具体的な情報を得られます。

  • 「社内で多様性を感じる場面はありますか?」
  • 「公平な評価制度はどのように実現されていますか?」
  • 「上司や同僚が多様性や公平性をどの程度理解していると感じますか?」

社員がポジティブな回答をする場合、その企業はDE&Iの文化が浸透している可能性が高いです。一方で、回答が曖昧だったり否定的であったりする場合は、取り組みが表面的なものである可能性を疑うべきです。

新卒が押さえるべき企業選びのポイント

新卒で企業を選ぶ際には、DE&Iの取り組みを基準にすることがキャリアの満足度や成長に直結する場合があります。しかし、何を基準に判断すれば良いのか迷うことも多いでしょう。この章では、新卒が特に注目すべき具体的なポイントを紹介します。

自分の価値観とDE&Iの優先順位

まず最初に取り組むべきは、自分自身の価値観を明確にすることです。DE&Iが企業選びの中でどれほど重要な位置を占めるのかを考えましょう。たとえば、次のような問いを自分に投げかけてみてください。

  • 自分にとって働きやすい環境とはどのようなものか?
  • 自分の属性やバックグラウンドが職場で受け入れられることを重視するか?
  • 公平な評価制度やキャリア支援が必要だと感じるか?

これらを考えることで、自分がどのような環境で力を発揮し、成長できるかが見えてきます。この基準を持つことで、多くの企業の中から自分に合った職場を選びやすくなるでしょう。

選考プロセスで注目すべきポイント

選考プロセスは、企業文化やDE&Iへの取り組みを垣間見る絶好のチャンスです。面接や会社説明会での対応を注意深く観察し、以下のポイントをチェックしましょう。

  1. 採用担当者の対応
    • 採用担当者が一人ひとりに配慮した態度を取っているか。特定の価値観や属性に偏った質問をされないかも確認しましょう。
  2. 質問への誠実な回答
    • DE&Iに関する質問を投げかけた際に、具体的で実践的な回答が返ってくるかを見極めます。回答が曖昧な場合、その企業の取り組みが不十分である可能性があります。
  3. 多様性のある面接官
    • 面接官が多様な属性を持っている場合、その企業がダイバーシティを重視している可能性が高いです。

インターンシップで確認するべきこと

インターンシップは、その企業の内部文化や働き方を実際に体験できる貴重な機会です。短期間であっても、以下の視点を持って観察することで、DE&Iの実態を掴むことができます。

  1. 社員間のコミュニケーション
    • 社員同士がオープンに意見交換をしているか。特に上下関係や属性の違いによって発言が制限されているように感じる場合は注意が必要です。
  2. リーダーの姿勢
    • チームリーダーやマネージャーが多様な意見を尊重し、それを活かした意思決定をしているか。
  3. インターン生への対応
    • インターン生にも公平なチャンスやフィードバックが与えられるか。これにより、企業全体のエクイティへの姿勢が伺えます。

選考プロセスやインターンシップを通じて企業の姿勢を確認することは、自分にとって働きやすい環境を見つけるために不可欠です。

DE&I推進企業で働くメリットと注意点

DE&Iを積極的に推進している企業で働くことには、多くのメリットがあります。しかし一方で、表面的な取り組みに終わっている企業もあるため注意が必要です。この章では、DE&I推進企業で働くことの利点と、選ぶ際に気をつけるべきポイントを解説します。

キャリア形成への影響

DE&Iを重視する企業では、従業員一人ひとりの特性や強みを認め、育成するための支援が充実しています。このため、自分らしく働きながらスキルアップを図ることが可能です。具体的なメリットには以下のような点が挙げられます。

  1. 公平な評価と昇進機会
    • 性別や年齢、国籍に関係なく、能力や実績が正当に評価されるため、自信を持ってキャリアを築けます。
  2. 多様なロールモデルの存在
    • 自分と似たバックグラウンドを持つリーダーや先輩がいることで、将来のビジョンが描きやすくなります。
  3. 学びの機会が広がる
    • 多様な視点を持つ同僚と働くことで、新しいアイデアや異なる視点に触れることができ、柔軟な考え方や問題解決力が身につきます。

職場環境と自己成長

DE&I推進企業では、誰もが活躍できる環境が整備されています。具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。

  1. メンター制度や育成プログラム
    • 個々の成長に合わせた支援が受けられることで、安心してキャリアを積み重ねることができます。
  2. 心理的安全性の確保
    • 従業員が自由に意見を言える環境が整っており、失敗を恐れずにチャレンジできる文化があります。
  3. 働きやすさの向上
    • ワークライフバランスの改善やハラスメント防止策の実施など、従業員が長期的に働ける仕組みが導入されています。

推進が形骸化している場合のリスク

一方で、DE&Iの取り組みが表面的なものである場合、以下のような問題が生じる可能性があります。

  1. 理念と実態の乖離
    • 「多様性を重視する」とのメッセージは発信しているものの、実際には少数派の意見が軽視される文化が根付いている場合があります。
  2. 短期的な取り組みに終始する
    • 取り組みが一過性のプロジェクトとして扱われ、根本的な文化の改善につながっていないケースもあります。
  3. 従業員の不満が蓄積
    • 公平性が欠けた制度や対応により、従業員のモチベーション低下や退職率の増加につながる可能性があります。

まとめ

DE&I(Diversity, Equity, and Inclusion)やD&I(Diversity and Inclusion)は、単なるトレンドではなく、現代の企業が持続的な成長を遂げるために欠かせない取り組みです。新卒として初めての就職先を選ぶ際に、これらの要素を基準にすることは、働きやすさや自己成長、さらにはキャリア形成に大きな影響を与えます。しかし、理念として掲げている企業が増える一方で、実態が伴っていないケースもあるため、表面的な情報に惑わされない視点を持つことが重要です。

この記事では、まずDE&IとD&Iの違いについて解説しました。D&Iが「多様性」と「包括性」を重視するのに対し、DE&Iでは「公平性(エクイティ)」が加わります。この公平性の概念は、単なる平等を超え、一人ひとりの背景やニーズに応じた支援を提供することを意味します。特に、新卒で職場に馴染むまでの支援や、働きやすさを感じられる環境が整っているかどうかは、長期的なキャリア形成に大きく影響します。

次に、DE&Iが企業において注目される背景や社会的意義を整理しました。多様な視点や価値観を取り入れることは、商品やサービスのイノベーション、組織全体の競争力向上につながります。同時に、社会的な不平等や格差を是正するという目的もあります。企業にとってのメリットだけでなく、社会全体にプラスの影響を与える点で、DE&Iはますます重要なテーマとなっています。

一方で、新卒として企業を選ぶ際には、DE&Iに取り組んでいるかどうかを見極める視点が求められます。企業の公式サイトや採用ページに記載されている情報、CSRレポートや認定マークは、企業の姿勢を把握する上でのヒントになります。また、面接やインターンシップを通じて、実際の社内文化や制度を確認することも欠かせません。特に、採用プロセスでの対応や、社員の口コミ、OB・OGの話を通じて、企業が実際にどれほどDE&Iを推進しているのかを知ることができます。

DE&I推進企業で働くことで得られるメリットは非常に多岐にわたります。公平な評価や多様なロールモデルに触れることで、将来のキャリアビジョンが広がり、心理的安全性が確保された職場環境で自分らしく働けます。また、異なるバックグラウンドを持つ人々との協働を通じて、新しい視点やスキルを学び、自身の成長を実感できるでしょう。しかし、すべての企業がDE&Iを本質的に取り組んでいるわけではありません。取り組みが形骸化している場合、従業員の不満や組織全体の非効率を招くリスクもあります。

自分に合った職場を見つけるためには、単に「多様性を重視する」といった表面的なメッセージに留まらず、企業の具体的な取り組みや実態をしっかりと見極める必要があります。自分自身の価値観やキャリアビジョンを明確にし、納得のいく選択をすることが、充実した社会人生活への第一歩です。この記事で紹介したポイントを活用し、DE&Iを基準にした企業選びを進めてください。それが、これからのキャリアの土台を築く大きな助けとなるでしょう。

あなたの価値観に寄り添い、成長を後押ししてくれる職場との出会いを願っています。

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