6月の転職市場の特徴とは?
新卒採用が落ち着いた後の動き
6月という時期は、日本の採用市場において一つの区切りを迎えるタイミングです。多くの企業が4月に新卒社員を迎え入れ、その教育や業務への定着支援に一定のリソースを割いてきました。その結果、5月末から6月にかけては、新卒対応が一段落し、次に必要となる「中途採用」や「第二新卒」の採用に目を向け始める企業が増えてきます。
つまり、6月は新卒採用から中途採用への移行期であり、多くの企業が「今の戦力で十分か」「人員に空きはないか」「中長期の事業展開に向けて、今どの職種の人材を補強すべきか」といった検討を行います。このような背景から、6月は中途採用の求人が徐々に増えていく、いわば「転職活動のスタートダッシュがしやすい月」と言えるでしょう。
また、4月に入社した新卒社員のうち、早くも「会社が合わない」「思っていた仕事と違う」と感じ始める人が出てくるのもこの時期です。企業側もそれを見越して、第二新卒の枠を設けたり、研修制度を充実させたりと、6月以降の人材流動に対応する体制を整えています。特に大企業やベンチャー企業では、即戦力とはいかないまでも、伸びしろのある若手人材を積極的に採用する動きが強まります。
企業が中途採用に本腰を入れるタイミング
6月はまた、企業の「採用計画の中間点」としても重要なタイミングです。年度始まりである4月から数えて3か月が経過し、上半期の進捗状況が見えてくる頃。業績や事業計画の進捗を見直し、「このままの人員体制で達成できるのか?」という視点から追加採用を検討する企業が増えてきます。
さらに、6月から8月にかけては、夏のボーナス支給後に退職する社員が出ることを見越して、後任や補充の人材確保を急ぐ企業も多くなります。特に退職の申し出は1〜2ヶ月前に出されることが多いため、6月の時点で人手不足を見込んだ採用活動が始まっているケースも少なくありません。
このように、6月は企業が積極的に中途採用に乗り出す“準備と実行のタイミング”なのです。特に営業職や事務職、ITエンジニア、接客業など、比較的流動性の高い職種では求人が増える傾向にあります。
加えて、決算が3月である企業にとっては、6月までに次の期の体制を整えておきたいというニーズが働くため、採用活動が活発化することが多いです。このような動きを捉え、6月からの転職活動を意識的に始めることで、求人が多く、競争率が比較的落ち着いたタイミングでの活動が可能になります。
一方で、採用側の動きが活発になるからといって、求職者側が無計画に応募しても成果にはつながりにくいのが現実です。6月は確かにチャンスが増える時期ですが、それをしっかりと掴むには「自分はどういう企業に入りたいのか」「どんな働き方をしたいのか」を明確にしておく必要があります。
そのためにも、次章以降では、実際にどのような業界や職種で求人数が増えているのか、そしてどのような戦略で転職活動を進めるべきかについて、さらに詳しく掘り下げていきます。

求人数は本当に増える?6月のデータから見る実態
業界別の求人動向
6月になると「求人数が増える」とよく言われますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?実際の転職市場のデータや傾向をもとに、業界別の求人動向を見ていきましょう。
まず、転職支援サイトや大手エージェントのデータを見ると、6月から8月にかけての3か月間は、年間を通じて求人数が安定して多い傾向があります。特にIT・通信業界、製造業、建設業、小売・サービス業などではこの時期に求人が活発化します。
1.IT・通信業界
IT業界は年間を通じて人材ニーズが高く、特に6月は新規プロジェクトやシステム導入が本格化する時期として、エンジニアやプログラマー、ITサポートの求人が多くなります。DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが続いていることもあり、経験者はもちろん、未経験可のポテンシャル採用も一定数見られるのが特徴です。
2.製造業・建設業
年度初めから動いていた大型プロジェクトが本格始動する6月は、人員を補充する企業が増加します。特に技能系・技術系の求人が多く見られます。また、高齢化による人手不足が慢性的な課題となっているため、未経験でも育成前提で採用するケースも珍しくありません。
3.小売・サービス業
飲食業、接客業、小売業は、夏休みシーズンや大型セールを見越して、6月中に人材確保を進める傾向があります。アルバイトや契約社員はもちろん、正社員登用を前提とした採用も増加します。特に第二新卒や若手層にとっては、未経験でもチャレンジしやすい職種が多いのが魅力です。
4.金融・保険業界
一見、採用時期が決まっていそうな金融業界も、6月になると新たな採用ニーズが出てくることがあります。例えば、営業職の補充や、法人営業部門の新設に伴う人材募集などです。特に金融業界では、資格取得支援制度が充実している企業も多く、未経験からキャリアチェンジを図るにはチャンスが多い時期と言えます。
このように、業界によって求人の傾向には違いがあるものの、6月は多くの業界で新たな採用活動が動き出す「チャンスの時期」であることが分かります。
正社員と契約社員・派遣の比率
求人を探すとき、「正社員として働きたい」と考える人は多いでしょう。一方で、派遣社員や契約社員の求人が多く出回ることも事実です。6月における雇用形態別の求人比率を見てみると、以下のような特徴があります。
正社員求人の特徴
6月はボーナス前の退職予測に備えた“正社員の補充”が多くなる時期です。そのため、即戦力となる経験者はもちろん、第二新卒や未経験者でも「ポテンシャル採用」や「育成前提採用」として正社員枠に応募できるチャンスが広がります。特に営業職やカスタマーサポート職、事務職など、若手が活躍しやすい職種では、正社員募集が目立ちます。
また、「定着率を高めたい」「若手を育てていきたい」と考える企業が増えている背景から、職場の雰囲気や福利厚生、働き方に配慮した求人が増えているのもこの時期の特徴です。これは、就職後のミスマッチを防ぐために、応募者側にとっても企業選びがしやすいメリットと言えるでしょう。
契約社員・派遣社員の求人動向
一方、即戦力として短期間で稼働してもらいたい職種や、繁忙期の業務をカバーするための求人として、契約社員や派遣社員の募集も活発になります。特に6月から夏にかけては、事務サポートやコールセンター、軽作業、販売スタッフなどの求人が多く、時間や勤務日数に柔軟な選択肢も多いため、ライフスタイルに合わせた働き方を希望する人には向いています。
ただし、正社員登用のチャンスがあるかどうかは企業ごとに異なるため、求人票の「正社員登用あり」などの記載をしっかり確認しておくことが重要です。中には、契約社員スタートでも半年後には正社員として採用される前提の「紹介予定派遣」などもありますので、自分の将来設計に合わせて選ぶと良いでしょう。
求人数が多い=転職成功とは限らない
ここまで見てきたように、6月は確かに求人数が増える傾向がありますが、「数が多い=転職しやすい」というわけではありません。なぜなら、求人数の増加に伴い、転職活動を始める人も同時に増えるからです。つまり、競争もそれなりに激しくなるということです。
また、企業の多くは“数合わせ”ではなく、“自社に合う人材”を慎重に選びたいと考えています。そのため、応募者数が多くなればなるほど、選考の目は厳しくなります。これは未経験者や第二新卒にとっては大きなハードルとも言えるでしょう。
したがって、求人数の増加というチャンスを活かすには、「何となく応募する」のではなく、「自分の強みをどうアピールするか」「どんな企業なら自分に合うか」を事前に明確にしておくことが不可欠です。どれだけ求人が多くても、自分の希望とマッチしなければ意味がありませんし、ミスマッチによって短期間で再転職となるリスクもあります。

第二新卒や未経験者にとってのチャンス
企業が第二新卒を求める理由
「第二新卒歓迎」と書かれた求人を見たことがある方も多いのではないでしょうか。では、なぜ企業はあえて新卒でもなく、経験豊富な中途でもない“第二新卒”の人材を採用したがるのでしょうか?その理由を知ることは、自分の強みや可能性を見つけるヒントにもなります。
まず、企業が第二新卒に注目する大きな理由の一つは、「基本的なビジネスマナーが身についていること」です。新卒社員は、社会人としての基礎教育を一から行う必要がありますが、第二新卒の場合は、すでに前職でその基本を経験しており、最低限の業務の流れや社会人としてのルールを理解しています。これにより、育成コストや時間を抑えることができます。
また、第二新卒は年齢的にも20代前半〜半ばであることが多く、柔軟性があり、新しい環境への適応力が高いとされています。社風に馴染みやすく、長期的に育てていくには理想的な世代であると、多くの企業が考えています。
加えて、第二新卒は「今の会社では叶えられなかったことを実現したい」「自分に合った環境で働きたい」といった前向きな理由で転職を考える人が多い傾向にあります。企業側にとっても、自社にマッチすれば長期的に定着する可能性が高く、組織に新しい風を吹き込んでくれる貴重な存在となります。
このように、第二新卒は「即戦力」とまではいかなくても、「育てがいのある若手」として、多くの企業が採用ターゲットにしているのです。特に6月は、人員補充や若手育成枠として第二新卒のニーズが高まりやすいタイミングなので、行動に移すには絶好の機会です。
未経験OK求人の探し方と見極め方
第二新卒と並んで、もう一つ注目されるのが「未経験歓迎」の求人です。新しい業界や職種にチャレンジしたいと考える人にとっては、まさにチャンスと言えるでしょう。しかし、「未経験OK」と書かれていても、その実態には幅があり、見極めが重要になります。
「未経験歓迎」の種類を見極める
まず、求人票にある「未経験歓迎」には、大きく分けて2つのタイプがあります。
1つ目は本当に未経験から育成する前提の求人です。これは、職種ごとにしっかりとした研修制度が整っており、前職の経験に関係なくゼロから業務を覚えていける環境を用意している企業が出しているものです。新卒同様に成長してもらうことを期待しているため、応募者のポテンシャルや人柄を重視する傾向があります。
2つ目は、実質的には経験者を求めているケース。たとえば「未経験OKだけど、営業経験があると歓迎」「業界未経験だけど、同じ職種の経験がある人は優遇」などの表現が使われている場合、企業としてはできれば経験者が欲しいという本音が見え隠れしています。このような求人に応募する場合は、職務経歴書で自分の「応用力」や「学習意欲」をしっかりアピールする必要があります。
求人選びのチェックポイント
「未経験歓迎」と書かれているからといって、安易に応募するのではなく、以下の点をチェックすることで、自分に合った求人を見極めることができます。
- 教育・研修制度が整っているか?
→「研修1週間」などの簡易な表記ではなく、「OJT3ヶ月+フォロー面談」など、具体的な育成方針が示されているか。 - キャリアパスが提示されているか?
→未経験から入社して、どんなキャリアを描けるのかが明示されていると、将来のビジョンを立てやすくなります。 - 現場の声や社員インタビューが載っているか?
→働く人のリアルな意見が掲載されていれば、職場の雰囲気や育成体制の実態を把握しやすいです。 - 離職率や定着率の情報があるか?
→高すぎる離職率の企業は、研修制度や職場環境に問題がある可能性があります。
このような点に注目しながら、求人票だけでなく企業の採用ページや口コミサイト、転職エージェントからの情報も活用して、慎重に選ぶことが重要です。
転職エージェントの活用も有効
未経験分野への転職を考える場合、自分だけで求人を探すのは難しいこともあります。そんな時は、転職エージェントを利用するのも一つの手です。特に20代向けや第二新卒専門のエージェントは、未経験歓迎の求人に強く、企業との関係も深いため、「書類選考が通りやすい企業」「面接時にどうアピールすればよいか」など、実践的なサポートを受けることができます。
エージェントを通じて非公開求人を紹介してもらえるケースもあるので、自分の可能性を広げたい人にとっては心強い味方になるでしょう。
「経験がない=弱み」ではない
未経験や第二新卒というと、「自分にはアピールできることがない」「社会人経験が浅くて不利では?」と不安になる方も多いかもしれません。しかし、実は企業が重視しているのは「何をしてきたか」だけでなく、「これからどうなりたいか」「何を学ぶ意欲があるか」といった“姿勢”の部分でもあります。
たとえば、前職での短い経験の中でも、「どんな課題に取り組んだか」「どう工夫して乗り越えたか」といったエピソードを伝えることで、人柄や考え方を十分にアピールできます。また、「未経験でも挑戦したい理由」がしっかり語れることで、応募先企業に対して熱意と真剣さを伝えることができます。
特に6月は、企業側もポテンシャル重視の採用を強化するタイミングです。自分に経験がないことを必要以上に引け目に感じる必要はありません。それよりも、なぜその仕事に興味を持ったのか、自分はどんな強みを活かせそうか、どう成長していきたいのかといった「未来の姿」を伝えることに注力しましょう。

転職活動スタート前に整えるべき準備
職務経歴書と履歴書のアップデート
転職活動を始めるにあたって、まず真っ先に準備すべきものが「職務経歴書」と「履歴書」です。とくに社会人経験が1〜3年ほどの方、あるいは第二新卒で転職を考える方にとっては、「アピールできる実績が少ないのでは?」と不安を感じることもあるでしょう。しかし、準備次第で印象は大きく変わります。
職務経歴書は“経験”よりも“工夫と成長”を伝える
社会人経験が浅い場合、業績や数値的な成果よりも「どんな仕事をして、どんな工夫をし、何を学んだか」を重視して書くのが効果的です。
たとえば、営業職であれば「月間目標〇%達成」などの数値があれば明記するとよいですが、それが難しい場合は、以下のような視点で記述すると読み手に伝わりやすくなります。
- どのような業務を担当したか(例:法人営業/新規顧客対応など)
- 工夫したこと(例:メールのテンプレートを作成し返信速度を向上させた)
- そこから得た学び(例:相手のニーズを丁寧に汲み取る姿勢の大切さを実感)
また、未経験の職種にチャレンジする場合でも、前職の経験から「共通するスキル」や「応用可能な能力」があることを示すと、説得力が増します。
例:
前職では、社内の問い合わせ窓口を担当し、日々多数の社員対応を行っていました。この経験を通じて、相手の立場に立って物事を整理し、迅速に対応する力を身につけました。これらのスキルは、今後カスタマーサポート職でも活かせると考えています。
履歴書はフォーマットだけで差がつく
履歴書は「決まった形式で書くもの」と思われがちですが、記載の工夫で印象が良くなることもあります。例えば、志望動機や自己PR欄をただ埋めるのではなく、「なぜこの業界・企業に興味があるのか」「どんな強みを活かしたいのか」を端的に記載することが大切です。
また、写真の印象やフォントの整え方、PDFで提出する際のファイル名(例:履歴書_山田太郎_2025.pdf)なども意外と見られているポイントです。細部まで丁寧に準備する姿勢が、企業側にはしっかりと伝わります。
自己分析と希望条件の棚卸し
「とりあえず転職したい」「今の職場を辞めたい」と感じるタイミングでは、焦って求人に応募しがちです。しかし、それではミスマッチのリスクが高まり、転職後に「またすぐ辞めたい」となる可能性もあります。そうならないために大切なのが、「自己分析」と「希望条件の明確化」です。
自己分析:過去の経験から自分を知る
自己分析とは、「自分が何にやりがいを感じるか」「どんな環境で力を発揮できるか」「何を大事にして働きたいか」を整理する作業です。難しく感じるかもしれませんが、以下のような質問を自分に投げかけてみましょう。
- 今までの仕事や学校生活で、達成感を感じたのはどんなとき?
- 苦手だった仕事や人間関係の中で、何が原因だったか?
- どんな働き方が自分に合っていると感じたか?
- 将来、どんなキャリアや生活を送りたいと思うか?
これらに答えていくことで、自分の価値観や仕事観が少しずつクリアになってきます。
希望条件の優先順位をつける
転職活動では、条件の“すべて”が揃った求人はそう多くありません。だからこそ、「絶対に譲れない条件」と「あると嬉しい条件」を分けておくことが重要です。
たとえば、以下のような切り口で棚卸しをしてみましょう。
優先順位 | 条件 |
---|---|
◎最重要 | 正社員雇用/勤務地が東京23区内 |
○できれば | 年間休日120日以上/リモート可 |
△あれば嬉しい | 社宅制度/副業可能/資格取得支援 |
このように整理することで、求人を見る目が養われ、自分に合った仕事選びがしやすくなります。特に6月のように求人数が多い時期は、魅力的に見える求人も増える分、軸がぶれやすくなるもの。事前の棚卸しが転職活動のブレを防ぐ鍵になります。
キャリアの「軸」を決める
自己分析と条件整理の結果から導き出したいのが、「自分のキャリアの軸」です。たとえば「人と関わる仕事がしたい」「専門性を高めたい」「ワークライフバランスを大切にしたい」など、人それぞれ軸は異なりますが、これがあると企業選びにも迷いが少なくなり、面接でも一貫性のある受け答えができるようになります。
転職活動は、自分自身の価値観と向き合う貴重な機会でもあります。焦らず丁寧に、自己理解を深めるステップを踏んでおくことが、最終的に「納得のいく転職」に近づく一歩です。

転職活動を成功に導く行動計画とスケジュール
効率的な応募と面接対策のコツ
6月から転職活動を始める方にとって、「いつ、何をすべきか」という具体的な行動計画は成功へのカギになります。特に第二新卒や社会人経験が浅い方の場合、勢いで動いてしまいがちですが、準備や対策が不十分だとせっかくのチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。
ここでは、転職活動を効率的に進めるための応募戦略と面接対策のポイントを紹介します。
応募数は「質×量」のバランスを意識
転職サイトに登録すると、数百件もの求人が一気に目に飛び込んできます。その中で「とにかく多く応募した方が良いのでは?」と感じる人も少なくありません。しかし、むやみに応募しても、その後の面接対応が追いつかず、かえって疲弊してしまうケースが多いのが現実です。
応募数の目安としては、1週間に3~5社程度が現実的で、質を担保できる範囲とされています。それ以上になると、書類の使い回しや面接準備が甘くなりがちなので、選考通過率が下がってしまいます。
また、応募する企業については「必ず志望動機が語れるか?」を一つの基準にしましょう。企業のホームページを読み、事業内容や社風に共感できるかどうか、自分のスキルや価値観とマッチするかを確認したうえで応募するのが、効率のよい活動です。
面接対策は「想定質問への準備」と「ロールプレイ」が鍵
書類選考を通過すると、次に待っているのが面接です。面接では、自己紹介や志望動機、退職理由、長所・短所など、よくある質問への対応力が問われます。まずは以下のような基本質問に対して、自分の言葉で答えられるよう準備しましょう。
- 自己紹介をお願いします
- 当社を志望した理由は?
- 前職(現職)を退職(転職)しようと思った理由は?
- どんな仕事をしてきましたか?
- あなたの強み・弱みは?
- 5年後、どんな働き方をしていたいですか?
特に「志望動機」と「退職理由」は、企業が非常に注目するポイントです。ここでネガティブな印象を与えないよう、「環境が合わなかった」ではなく、「より成長できる環境を求めている」「これまでの経験を別の形で活かしたい」といった前向きな表現を意識しましょう。
また、できれば家族や友人に協力してもらい、模擬面接(ロールプレイ)を行うと、緊張感を持ちながら練習できて効果的です。声に出して話すことで、自分の言葉に説得力が出てきます。
転職活動のスケジュール例(6月スタート編)
ここでは、6月に転職活動を始めた場合の具体的なスケジュール例をご紹介します。自分の状況に応じて調整しながら、目安として活用してください。
【第1週目:準備フェーズ】
- 自己分析の実施(キャリアの棚卸し、価値観の明確化)
- 職務経歴書・履歴書の作成・ブラッシュアップ
- 希望条件の整理、キャリアの軸を決める
- 転職サイト・エージェントに登録、面談予約
【第2〜3週目:応募・書類選考フェーズ】
- 応募先の選定(1週あたり3〜5社が目安)
- 志望動機や企業研究の実施
- エージェントとの面談、非公開求人の紹介
- 書類提出と書類通過連絡の対応
【第4〜6週目:面接フェーズ】
- 一次面接(オンラインまたは対面)の実施
- 面接後の振り返りと改善点の整理
- 二次・最終面接への準備
- 内定獲得後、オファー内容の確認と比較検討
【第7週目以降:退職手続き・入社準備】
- 現職がある場合、上司への退職意思表明
- 引継ぎ資料の作成、退職日決定
- 新天地の入社準備(書類提出、研修資料の確認など)
このスケジュールに沿って進めれば、およそ1〜2ヶ月で内定獲得が現実的になります。もちろん、応募先によって選考のスピードに差があるため、同時並行で複数社の対応が必要になります。
転職エージェントの活用方法
転職活動をスムーズに進めたい場合、転職エージェントを上手に活用するのも大きな武器になります。特に6月は企業の採用熱が高まっているため、エージェント経由で非公開求人にアクセスできるチャンスも増えます。
エージェントを使うメリット
- 自分に合った求人を紹介してくれる
- 書類添削や面接対策などサポートが手厚い
- 企業とのやり取り(面接日程調整など)を代行してくれる
- 年収交渉や条件交渉を代行してくれる
- 面接のフィードバックがもらえる
特に未経験職種や第二新卒としての転職を希望する場合、書類選考で不利になりがちな側面がありますが、エージェントの推薦があると通過率が高まるケースもあります。
複数社を比較して相性のよいエージェントを選ぶ
エージェントにも得意・不得意があります。大手総合型(リクルートエージェント、dodaなど)と、第二新卒・20代向けに特化したエージェント(マイナビジョブ20’s、ハタラクティブ、キャリトレなど)を併用し、自分に合ったサポートが受けられるかを比較するとよいでしょう。
また、エージェントとの初回面談時には、以下の点を伝えるとマッチング精度が上がります。
- 今回の転職で実現したいこと
- 希望する業界や職種
- 自分の強み・弱み
- 転職可能な時期
エージェントは「転職を成功させたい人」と「採用したい企業」の間に立つ存在なので、自分のことを正確に伝えることが、良い求人を紹介してもらう第一歩です。

まとめ
6月からの転職活動は、求人数の増加や企業の採用意欲の高まりといった市場の動きに後押しされる、まさに“スタートに適した時期”です。とくに第二新卒や未経験者にとっては、ポテンシャル採用が活発になるこの時期を逃す手はありません。
ただし、求人数が多いというだけで満足してしまうのではなく、しっかりと自己分析を行い、自分の希望条件やキャリアの軸を明確にすることが、転職成功の鍵となります。職務経歴書や履歴書のブラッシュアップ、企業研究や面接対策も重要で、「誰にでも当てはまる回答」ではなく、「自分だからこそ語れる経験や想い」を伝える姿勢が求められます。
また、応募から内定、そして入社に至るまでには1〜2ヶ月程度の期間が必要です。無理のないスケジュールを立てて行動することで、焦らず冷静に、より自分にフィットした企業を選ぶことができるでしょう。
転職エージェントの力を借りるのも有効な手段です。特に6月はエージェントが持つ非公開求人やスピード感のあるサポートが、転職成功を後押ししてくれる存在となるはずです。
6月というタイミングをチャンスととらえ、「後悔のない転職」を実現するために、丁寧な準備と計画的な行動を大切にしていきましょう。