入社2ヶ月で転職を考える人が増えている背景
「入社してまだ2ヶ月なのに、もう辞めたいと思ってしまうなんて、自分は甘えているのかも…」そんな悩みを抱えている新卒・若手社会人は、実は年々増えてきています。これまでは“最低でも3年は働け”という風潮が当たり前でしたが、最近では早期離職に対する価値観が少しずつ変わってきているのが現状です。
この章では、入社わずか2ヶ月で転職を考える人が増加している背景について、データや社会の変化を交えながら詳しく見ていきましょう。
新卒の早期離職率とその推移
厚生労働省が発表している「新規学卒就職者の離職状況」によると、新卒の3年以内離職率はここ10年以上、高卒で約4割、大卒でも3割以上と高い水準を維持しています。つまり、大卒者のうち3人に1人は、入社後3年以内に会社を辞めているという現実があります。
しかも、最近では3年を待たずに、半年〜1年以内で辞めるケースも増えているのです。その中でも特に「入社後すぐ」である1ヶ月〜2ヶ月以内に転職を意識する人が、SNSや転職サイトの利用者動向からも増加傾向にあることがわかります。
なぜここまで早く辞めたくなる人が増えているのでしょうか?その要因のひとつは、働くことに対する価値観の変化です。
転職が珍しくなくなった時代の価値観
かつての日本では、「1つの会社に長く勤めること」が美徳とされていました。しかし今では、終身雇用制度の崩壊や、副業解禁、ジョブ型雇用の普及などにより、「同じ会社にずっと勤める」ことが必ずしも正解ではなくなってきています。
特に若い世代ほど、「自分らしい働き方を選びたい」「やりがいを持てる仕事をしたい」という気持ちが強い傾向があります。そのため、入社後に「思っていたのと違う」「このままここで働いていていいのか?」と感じた時点で、早い段階で別の道を検討する人が増えているのです。
さらに、インターネットやSNSの普及によって、他の人の働き方や会社の内情を簡単に知ることができるようになったのも大きな要因です。InstagramやTwitter(X)、YouTubeなどを見れば、「転職して良かった」「フリーランスで成功した」といったリアルな体験談に簡単にアクセスできます。これが、自分の現状に対する不満や焦りを加速させる要因にもなっています。
コロナ禍と働き方改革がもたらした変化
また、ここ数年のコロナ禍によって、働き方そのものに対する考え方が大きく変わったことも、早期離職の増加に影響しています。
テレワークやオンライン面接が一般化したことで、物理的な距離の壁がなくなり、「この会社じゃなくても働けるのでは?」と感じる機会が増えました。これにより、「会社への帰属意識」や「我慢してでも続けるべき」という価値観が、若手世代の中で急速に弱まってきたのです。
また、入社前から「ワークライフバランス」や「職場の人間関係」を重視する声が強くなり、少しでも「合わない」と感じたらすぐに転職を選択肢に入れることが一般的になってきました。
増えた「働きやすさ」を求める企業とミスマッチ
一方で、企業側も人材確保のために「働きやすさ」や「福利厚生の充実」をアピールする傾向が強まっています。しかし、その表面的な情報だけで企業を選んでしまうと、実際に入社してからのリアルとのギャップに戸惑うことも少なくありません。
例えば、
- 面接では「風通しがいい社風」と言っていたのに、実際は上下関係が厳しかった
- テレワークを導入していると聞いていたが、新人には適用されなかった
- 仕事の裁量があると思っていたのに、単調な作業ばかり任される
こうした**「想像と違う」ギャップが、早期のモチベーション低下や転職意欲の増加に直結している**のです。
「こんなことで辞めたいと思う自分がおかしいの?」と悩む前に
このように、入社後すぐに転職を考える人が増えている背景には、決して「我慢が足りない」「根性がない」といった単純な話ではなく、社会全体の働き方や価値観の変化、そして企業と若手社員とのミスマッチが深く関係していることがわかります。
「こんなことで辞めたいなんて、自分はダメだ」と思う必要はありません。あなたの感じている違和感は、時代の変化の中で多くの若手が感じている“普通のこと”なのです。
大切なのは、その違和感にどう向き合い、どう行動していくか。

どんな理由で転職を考えるのか?
「入社2ヶ月で転職なんて早すぎる…」と感じていても、心の中ではすでに限界を感じている人も多いでしょう。実際、早期離職を考える新卒や若手社会人には、明確な“理由”が存在します。
この章では、入社してわずか2ヶ月というタイミングで「転職」を意識するに至る、代表的な理由について深掘りしていきます。「自分だけじゃないんだ」と感じることで、気持ちが少しでも軽くなるかもしれません。
入社前のイメージと現実のギャップ
最も多く聞かれるのが、「思っていた会社と違った」という声です。これは就活中に抱いていた企業イメージと、実際の職場で体験する日々とのギャップからくるもので、非常に多くの新卒がぶつかる“壁”でもあります。
よくあるギャップの例
- 仕事内容の違い
就活中は営業職としてお客様とのやりとりを重視したいと思っていたのに、配属されたのは社内事務中心の部署だった。あるいは「企画職」として入社したのに、実際は雑務ばかり。 - 職場の雰囲気の違い
面接では「風通しのよい、若手にも意見が言いやすい職場」と言われたのに、実際には上司の言うことが絶対で、黙って従う空気が強い。 - 労働時間・休暇の違い
「ワークライフバランス重視」と聞いていたのに、残業が多く有給も取りづらい。「話が違う…」と感じてもおかしくありません。
このように、事前にどれだけ企業研究をしていても、入社しないと分からない“リアルな現場”があるのは事実です。その現実に直面した時、「ここではやっていけないかも…」と感じるのは自然な反応と言えるでしょう。
人間関係や職場環境の問題
入社後に「この会社、合わないかも…」と感じるもう一つの大きな理由が、人間関係や職場の雰囲気です。特に新卒や第二新卒のうちは、仕事のスキルよりもまず職場に馴染めるかどうかが重要になります。
よくある人間関係のトラブル
- 指導役の先輩や上司との相性が悪い
厳しすぎる指導や理不尽な注意が続くと、自信を失ったりストレスを感じたりすることも。 - 同期との関係がうまくいかない
研修やOJTの期間中に、同期と比較されて落ち込む人も少なくありません。 - 職場に「相談できる人」がいない
困ったときに頼れる人がいない環境では、孤独感や不安が増し、「ここに居場所はない」と感じてしまいます。
特に社会人になりたての時期は、ちょっとした言葉や態度が想像以上に心に残るものです。たとえば、上司からの「なんでこんな簡単なこともできないの?」という一言。たった一言でも、「もう辞めたい」と思わせるには十分なインパクトがあります。
「このまま続けても成長できないかも…」という不安
新卒で入社した直後は、毎日が新しいことだらけ。最初は吸収することが多く、それなりにやりがいを感じる人もいます。しかし、少し落ち着いてくる2ヶ月目あたりになると、「この仕事に意味があるのか?」という疑問が出てくることもあります。
- 同じ作業の繰り返しで、成長実感がない
- 誰でもできる仕事ばかりで、自分じゃなくてもいい気がする
- キャリアの方向性が見えず、不安になる
こうした不安は、特に**「将来を意識する真面目な人ほど強く感じやすい」**傾向があります。周りと比較して、「あの子は楽しそうに働いてるのに、自分はなんでこんなにモヤモヤしてるんだろう」と感じてしまうこともあるでしょう。
体調不良やメンタル不調による限界
実は、入社2ヶ月で転職を考える人の中には、「体がもたない、心が限界」という状態にまで追い込まれているケースも少なくありません。
- 朝、起きるのがつらい。会社に行くと思うと涙が出る
- 頭痛や腹痛、動悸などの体調不良が頻繁に起こる
- 家に帰っても仕事のことばかり考えてしまい、眠れない
こうした状態が続いているなら、すぐにでも対処が必要です。無理をして働き続けることで、うつ病や適応障害などの深刻なメンタル疾患につながってしまう可能性もあります。
「たった2ヶ月で…」と思うかもしれませんが、大切なのは“期間”ではなく“自分の状態”。本当に限界を感じているなら、「辞める」という選択肢も、決して間違いではないのです。
周囲の成功談とのギャップからくる焦り
SNSや転職サイトでは、「入社半年で転職して年収アップ!」「フリーランスで独立!」など、キラキラした成功ストーリーがあふれています。その情報を見ているうちに、「自分も早く行動しないと」と焦ってしまう人も多いです。
ただし注意が必要なのは、こうした情報は成功した一部の人の“切り抜き”であるということ。実際には、転職がうまくいかずに後悔している人もいます。
それでも、こうした情報が気になるということは、少なからず今の環境に満足していないサインでもあります。その気持ちを否定せず、「なぜそう感じるのか?」を掘り下げてみることが、次の一歩を踏み出すためにとても大切です。
転職を考える理由は「自分の正直な気持ち」
入社2ヶ月という短い期間でも、「辞めたい」「違和感がある」と感じるには、それなりの理由があるものです。そしてそれは、決して「甘え」ではなく、あなた自身が自分の未来を真剣に考えているからこそ生まれる気持ちなのです。
この章で紹介したような理由に共感した人もいるかもしれません。もし自分にも当てはまる部分があるなら、「どうしてそう思ったのか」「この先どうしたいのか」を少しずつ整理していくことが大切です。

「甘え」なのか?早期離職に対する世間の目
「入社してまだ2ヶ月しか経っていないのに辞めたいなんて、甘えなのかな……」「家族や友人、上司にどう思われるだろう」――こんなふうに、自分の気持ちにブレーキをかけてしまっていませんか?
早期離職を決断する人が増えてきたとはいえ、世間の一部ではまだまだ「根性が足りない」「すぐに辞めるのは印象が悪い」といった声も根強く残っています。しかし、本当にそれは“甘え”なのでしょうか?
この章では、早期離職に対する世間の見方や、それに振り回されずに自分のキャリアに向き合うためのヒントをお伝えします。
上司や家族、友人の反応が怖い理由
転職を考えている人の多くがまず最初にぶつかるのが、「周囲の反応への不安」です。特に新卒や入社間もない若手社員は、社会経験が浅いからこそ、周囲の声に敏感になりがちです。
よくある不安の声
- 「せっかく就職できたのにもったいないって言われそう」
- 「親が心配するから言い出せない」
- 「大学の友達は楽しそうに働いてるのに、自分だけ……」
特に親世代は「一度入った会社には長く勤めるべき」という価値観を持っていることが多いため、早期離職を打ち明けるとネガティブな反応をされることもあります。
また、職場の上司や先輩に相談しようとしても、「まだ2ヶ月でしょ?もっと頑張ってみたら?」と軽くあしらわれてしまうことも。こうした周囲の言葉が、辞めたい気持ちをさらに罪悪感へと変えてしまうのです。
「甘え」という言葉の危険性
そもそも、「辞めたい=甘え」という言葉には、非常に強い力があります。そしてその言葉は、多くの場合、本人ではなく周囲の人が簡単に使ってしまうものです。
たとえば、こんなふうに言われたことはありませんか?
- 「みんな最初は大変なんだから、もう少し我慢しなよ」
- 「社会はそんなに甘くないよ」
- 「それくらいで辞めるなんて、どこ行っても通用しないよ」
こうした言葉は、一見アドバイスのように見えて、実は相手の立場や心の状態を理解せずに切り捨てている場合も多いのです。
もちろん、短期間での離職にはリスクもありますし、将来的に振り返って「もう少し頑張ってみてもよかったかも」と思うこともあるかもしれません。
でも、それでも――「あなたが今、辞めたいと思っているその気持ち」は、決して軽視できるものではないのです。
「甘え」ではなく「自己防衛」の選択
早期離職を検討する背景には、身体的・精神的な不調、価値観のズレ、将来への不安など、さまざまな“理由”と“兆し”があることは前章でもお話ししました。
それは「逃げ」でも「甘え」でもなく、**自分の人生や健康を守るための“自己防衛”**とも言えるのです。
たとえば、毎日ストレスで夜眠れず、朝起きても吐き気がする――そんな状態で働き続けることが「努力」なのでしょうか? それよりも、自分を守るために一歩引いて環境を変える方が、よほど“前向きな行動”とも言えるはずです。
会社にとっては一人の社員かもしれませんが、あなたにとっては人生そのもの。自分を守る決断をするのは、間違っていません。
長く働く=正解ではない時代
少し前までは、「同じ会社に長く勤めること」が信用や実績と結びついていました。でも今は違います。働き方の多様化が進み、転職回数が多くてもスキルや実績が重視される時代になっています。
実際、キャリアアドバイザーの調査でも、「転職回数の多さよりも、その転職で何を得たか・どんな経験をしてきたかを重視する企業」が増えていることが明らかになっています。
早期離職をしたからといって、その後のキャリアが閉ざされるわけではありません。むしろ、自分に合った職場を探し続けることで、結果的にスキルアップや満足度の高い働き方に繋がるケースも多いのです。
自分のキャリアに向き合うという前向きな姿勢
世間の声や周囲の反応に振り回されるのではなく、自分の気持ちに正直になって、自分の人生をどう生きたいかを考えることが何より大切です。
誰かの価値観ではなく、「自分の価値観」で働き方を選ぶことが、これからの時代には求められています。
とはいえ、すぐに答えが見つかるわけではありません。「本当に今辞めるべきなのか?」「もう少し頑張ってみるべきか?」と迷って当然です。そんなときは、自分だけで悩まず、第三者のアドバイスをもらうのも効果的です。
- キャリア相談サービスを利用する
- 信頼できる先輩や社会人に話を聞いてみる
- 転職エージェントに相談だけしてみる
これらの方法を使えば、より客観的な視点で自分の状況を見直すことができます。
判断を下すのは「自分自身」
最終的に辞めるかどうかを決めるのは、上司でも家族でもなく、あなた自身です。自分の人生は自分で舵を取らなければなりません。
今、あなたが悩んでいるということは、それだけ真剣に未来を考えている証拠。軽い気持ちで「辞めようかな」と考えているわけではないからこそ、ここまで迷い、苦しんでいるのだと思います。
だからこそ、自分自身の直感や気持ちを信じてください。「周りがなんと言おうと、私はこう思う」という気持ちが、キャリア選択の大きな支えになります。

入社2ヶ月で転職を決断する前に考えておくべきこと
「もう無理かも」「辞めたい」という気持ちが強くなってくると、一刻も早く今の状況から抜け出したくなるものです。しかし、焦って決断してしまうと、「なんであの時、ちゃんと考えなかったんだろう…」と後悔する可能性もあります。
特に入社してまだ2ヶ月という段階では、経験も情報も限られています。だからこそ、感情だけで行動せず、一度立ち止まって冷静に自分の状況を整理する時間を持つことがとても大切です。
この章では、転職を決断する前にしっかり考えておきたいことや、チェックすべき視点を紹介していきます。
今の会社で学べること・得られることを見直す
「辞めたい」と思う理由がある一方で、今の会社だからこそ得られる経験やスキルがある場合も少なくありません。
入社2ヶ月という時期は、まだ業務に慣れていない中で評価されたり、自分の適性が見えづらい時期です。そのため、「今がすべてではない」可能性も十分にあります。
見直してみてほしいポイント
- もう少し頑張れば、具体的なスキルや成果が得られそうか?
- 今の職場での経験が、将来のキャリアにどうつながるか?
- 辛さの原因は業務内容なのか、人間関係なのか、それとも生活リズムなどの外的要因か?
たとえば、業務内容が単調でも「仕事の段取りを組む力」や「報連相の習慣」など、社会人としての基礎スキルが身についている場合もあるでしょう。また、ある程度の時間が経てば、自分の得意・不得意がより明確になることもあります。
そのため、今の会社で過ごすことが、100%無意味なわけではないという視点も持っておくと、後悔のない判断につながります。
転職後に後悔しないための自己分析
転職は決してゴールではなく、新しいスタート地点です。今の会社を辞めることで一時的に楽になるかもしれませんが、転職先で再び同じ悩みに直面するケースもあります。
そのリスクを減らすためにも、まずは自分自身を深く理解すること=自己分析が重要です。
自己分析で整理しておきたいこと
- 自分はどんな働き方・環境が合っているか?
- 何にやりがいを感じ、何がストレスになるのか?
- 将来、どんな働き方をしたいのか?(キャリアビジョン)
- 現職の何が不満で、どうなれば満足できるのか?
「なんとなく今の会社が合わないから」という理由だけで転職活動を始めてしまうと、また同じような企業を選んでしまい、転職後に「失敗したかも…」と感じるリスクがあります。
逆に、自己分析を通して自分の軸が明確になっていれば、転職先選びでもブレない判断ができるようになります。
本当に辞める必要があるのか?選択肢を広げて考える
「転職」という言葉が頭に浮かぶと、それが唯一の解決策に思えてしまうことがあります。しかし、辞める以外にもできることがあるかもしれません。
たとえば、こんな選択肢も考えられます。
- 配属部署の変更を上司に相談してみる
- 社内で異動の希望を出す
- 業務内容の変更や軽減を申し出る
- 有給休暇や休職制度を使って一時的にリフレッシュする
もし人間関係や業務量に問題があるのであれば、まずは職場内で解決できる可能性もあります。実際に相談してみたら、上司が意外と理解してくれて、改善策が提示されるケースも少なくありません。
また、少し休むことで心と体に余裕ができ、違った見え方ができるようになることもあります。
「辞めるか、辞めないか」だけでなく、“その間”にあるグラデーションのような選択肢にも目を向けてみてください。
感情のまま動かないために「書き出す」ことの大切さ
頭の中だけでモヤモヤを抱えていると、焦りや不安が膨らんでしまい、冷静な判断ができなくなってしまいます。そんな時に効果的なのが、気持ちや考えを紙に書き出すことです。
具体的には、
- 今の仕事でつらいこと・不満に感じていること
- 楽しい・やりがいを感じる瞬間(もしあれば)
- 理想の働き方・理想の職場環境
- 転職に対する期待と不安
- 今すぐにでも辞めたい理由
などを思いつくままに書き出してみることで、自分の考えを“見える化”することができます。
感情の整理だけでなく、転職活動を始める際の自己PRや志望動機にもつながる材料になるため、ぜひ実践してみてください。
信頼できる第三者に相談してみる
一人で考えていると、どうしても主観に偏ってしまいがちです。そんな時は、信頼できる第三者に相談することで、新たな視点や気づきを得ることができます。
誰に相談すればいいか迷ったら、以下のような人たちが選択肢になります。
- 社会人経験のある先輩や友人
- キャリアアドバイザーや転職エージェント
- 大学のキャリアセンター
- メンタルカウンセラー(精神的な辛さが強い場合)
特にキャリアアドバイザーは、企業側の視点も知っているプロなので、自分の悩みが業界的に一般的なのか、それとも特殊なケースなのかを教えてくれることがあります。
また、相談することで「今の職場に残る選択肢もある」「こういう企業を受けた方が合うかも」といった新たな視野が広がることもあります。
「やっぱり辞めよう」と判断した時に備えておくべきこと
ここまでしっかり自分と向き合い、「やっぱり今の会社は自分に合わない。転職しよう」と気持ちが固まったのであれば、次の行動をスムーズに起こすための準備も大切になります。
たとえば、
- 転職理由を前向きに伝える言い回しを考えておく
- 退職時の手続きやマナーを事前に調べておく
- 今の職場で最低限の信頼関係を保っておく
- 転職活動に必要な情報(履歴書・職務経歴書など)を集める
「勢いだけで辞めてしまい、次が決まらず焦った」という声もよく聞かれるので、できる限り“次のステップ”を見据えた動きを意識しましょう。
感情と論理のバランスが大切
仕事を辞めたいという気持ちは、感情からくるものです。そして感情は、放っておくとどんどん大きくなり、冷静な判断ができなくなることもあります。
一方で、「転職」という選択は、キャリアという長期戦をどうデザインするかという論理的な要素も必要です。
そのためには、「辞めたい」という感情を否定するのではなく、一度しっかり受け止めてから、その先の行動を論理的に整理することが重要です。

入社2ヶ月で転職する場合の進め方
ここまで読んで、「やっぱりこのまま今の会社にいるのは厳しい。転職しよう」と決断した人もいるかもしれません。ただ、入社2ヶ月というタイミングでの退職は、進め方を間違えるとトラブルや後悔のもとになりかねません。
この章では、入社まもなくの時期に転職を進める際のポイントを、退職手続きの流れから転職活動の具体的な進め方まで、丁寧に解説します。
退職時のマナーとスケジュール
まずは「辞める」と決めた時に、どう会社に伝え、どのような手順で退職していくのかを確認しましょう。社会人としてのマナーを守ることは、円満退社・キャリアの信用維持に直結します。
1. 退職の意思を伝えるタイミング
退職の意思は、できれば退職希望日の1ヶ月前には伝えるのがベストです。会社によっては就業規則に「退職は◯ヶ月前までに申し出ること」と明記されている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
ただし、法的には「2週間前の申し出」で退職は可能とされています。職場との関係性や就業規則を考慮しつつ、無理のないスケジュールを組みましょう。
2. 上司への報告方法
退職の意思は、口頭で直属の上司に伝えるのが基本です。メールやチャットではなく、必ず対面もしくはオンラインのビデオ通話など、誠意が伝わる方法で伝えましょう。
伝える際のポイントは、あくまでも冷静に、感情的にならずに伝えることです。例:
「大変申し訳ありませんが、自分のキャリアを見直した結果、退職を決意いたしました。ご迷惑をおかけしてしまい恐縮ですが、手続き等についてご相談させてください。」
このように、**「会社や人が悪い」ではなく「自分の意思で前向きに退職を決めた」**というスタンスを保つと、印象を悪くせずに済みます。
3. 引き継ぎと最終出社日の調整
新人の段階では業務の引き継ぎが少ない場合もありますが、それでも最低限のマナーとして、業務の整理や資料のまとめはしっかり行いましょう。
また、最終出社日は上司や人事と相談しながら決めます。退職日=最終出社日ではないこともあるため、注意が必要です。
転職活動を成功させるためのポイント
入社2ヶ月での転職は、企業側から見ても「なぜそんなに早く辞めたのか?」という視点で見られがちです。だからこそ、早期退職の理由をどう伝えるかが、成功の鍵を握ります。
1. 早期退職の理由を前向きに言い換える
面接で「なぜ2ヶ月で辞めたのですか?」と聞かれたとき、ネガティブな内容をそのまま伝えるのはNGです。以下のように、ポジティブな転換表現を使いましょう。
×:「上司が厳しくて、自分には合わなかった」
◎:「自分の適性や価値観と異なる部分が多く、このままではお互いにとって良い結果にならないと判断しました」
×:「仕事内容が単調でやる気が出ませんでした」
◎:「より自分の力を活かせる環境でチャレンジしたいと思いました」
企業が見ているのは、「辞めた理由そのもの」よりも、そこから何を学び、どう前を向いているかという姿勢です。
2. 自己分析・企業研究はしっかりと
短期間での離職経験がある人ほど、次の転職で「またすぐ辞めるのでは?」と疑われることがあります。その不安を払拭するには、以下の2つが必須です。
- 自己分析:自分の価値観・強み・働きたい環境を明確にする
- 企業研究:次に選ぶ企業が自分に合っているかどうかを徹底的に調べる
過去の経験から「何が合わなかったか」が分かっていれば、企業選びにもその経験が活かせます。
3. 面接対策では「短所を隠さない」
早期退職を経験したことを、無理に隠す必要はありません。むしろ、正直に、でも前向きに話すことが信頼感につながります。
たとえば、
「結果として早期退職となりましたが、働く中で自分の向き不向きに気づくことができました。次はその経験を活かし、より良い形で貢献できる職場を選びたいと考えています。」
こうした姿勢が伝われば、面接官に「この人は反省し、前に進もうとしている」と評価してもらえることがあります。
転職先の選び方に注意する
「早く辞めたい」という気持ちが先走ると、焦って次の会社を決めてしまい、また同じ失敗を繰り返すリスクがあります。
企業選びで意識すべきポイント
- 労働環境(残業時間・有給取得率・福利厚生など)
- 社風や社員の雰囲気(口コミやSNSなどでチェック)
- 成長機会やキャリアパス(自分のやりたいことと合っているか)
- ミスマッチを防ぐため、可能ならOB訪問やカジュアル面談を活用する
求人票だけでは分からない情報が多いため、転職エージェントや口コミサイトを活用し、リアルな情報を集めることが大切です。
フリーター期間や空白期間があっても大丈夫?
「辞めた後、しばらく休んでから転職したいけど、空白期間ってマイナス?」という不安を持つ人も多いですが、必ずしもマイナスにはなりません。
ポイントは、「空白期間をどう過ごしていたか」を説明できることです。
- スキルアップのための勉強や資格取得
- 自己分析やキャリア見直しの時間
- メンタルを整えるための休養
これらの時間を「意味ある時間」として伝えることで、空白期間もポジティブに評価される可能性があります。
転職活動中に心がけたいこと
入社2ヶ月での転職活動は、気持ちの面でも負担が大きくなりがちです。だからこそ、以下のような心がけを意識してみてください。
- 自分を責めない。「辞める=失敗」ではない
- 比較ではなく「自分軸」で選ぶ
- 一人で抱え込まず、相談する(友人・家族・キャリアアドバイザー)
- 体調やメンタルが優れない時は、無理せず休む
そして何より大切なのは、「自分の人生の主導権は自分にある」という意識です。どんな決断も、誰かのせいではなく、自分の意思で選び取ったものなら、きっと意味のあるものになります。
最後に:早期転職をチャンスに変えるために
「入社2ヶ月で辞める」と聞くと、どうしてもネガティブな印象がつきまといます。しかし、それはあくまでも“表面的な見え方”に過ぎません。
本当に大切なのは、
- 自分の気持ちを無視しないこと
- 焦らず冷静に状況を見つめること
- 次こそ、自分に合った場所を見つけること
この3つを意識するだけで、早期転職も立派なキャリアの一歩になります。

まとめ
入社してまだ2ヶ月――その短さゆえに、「辞めたいと思うのは早すぎるのでは」「自分が弱いだけかも」と悩んでしまう人は多いです。でも、この記事を通してお伝えしたかったのは、その悩みは決してあなただけではないということ、そして「早期離職=甘え」ではないということです。
現代の働き方はどんどん多様化しており、ひとつの会社で長く働くことだけが正解ではありません。入社後すぐに「違和感」を抱くのは、自分のキャリアや働き方にしっかり向き合っている証拠でもあります。違和感を無理やり押し殺して働き続けるよりも、その声に耳を傾けて、自分に合った環境を探す行動の方が、よっぽど健全で前向きな選択です。
もちろん、感情だけで退職を決めてしまうのはリスクも伴います。だからこそ、「辞めるべきかどうか」をしっかり見極めるための視点や準備が必要です。今の職場で得られるものはないか、転職理由は明確か、自己分析はできているか。こうしたチェックポイントを踏まえながら、次に進む一歩を慎重に選びましょう。
そして、もし本当に今の職場が合わないと判断したならば、自信を持って行動してください。入社2ヶ月でも、立派に次のステージへ進む理由になります。大切なのは、「辞めた」という事実ではなく、その先に「どんな未来をつくっていくか」です。
あなたのキャリアは、これからいくらでも軌道修正できます。無理に耐えるより、自分らしく働ける環境を見つけていくこと。その積み重ねこそが、あなたらしい人生を形づくっていくのです。
少しずつで大丈夫です。一歩ずつ、自分の納得のいくキャリアを築いていきましょう。