第1章 手書き履歴書はもう古い?現状と背景
就活における履歴書の役割とは
就職活動を始めるとき、多くの人が最初に悩むのが「履歴書の準備」ですよね。特に新卒や社会人1〜3年目の若手の方にとっては、履歴書の書き方は意外とハードルが高く、「これって手書きがいいの?パソコンで作っても大丈夫?」と戸惑う場面も多いのではないでしょうか。
そもそも履歴書とは、自己紹介とこれまでの経験、志望動機を端的に伝えるための書類です。選考の初期段階では、企業側にとってその人を知る「第一印象」を決める材料になります。特に新卒の場合、職務経歴がないため、履歴書の記載内容とその見せ方が重要な判断材料となるのです。
履歴書に求められるのは、正確性、丁寧さ、そしてその人らしさ。内容が充実していることはもちろん、形式的にも整っている必要があります。手書きで書くことが長らく「誠意の表れ」「丁寧さの象徴」とされてきたのは、この背景があるからです。
しかし、デジタル技術が進化し、働き方も多様化してきた現代において、手書きである必要は本当にあるのでしょうか?
手書き文化の名残とその問題点
日本の就職活動では、長らく「手書きの履歴書が基本」とされてきました。これはある意味、文化的な側面も強く、「丁寧に書かれた字には人柄が出る」「誠意を感じられる」といった価値観に基づいています。
特に年配の面接官や中小企業の採用担当者の中には、いまだに手書きの履歴書に対して好印象を持つ方も少なくありません。「字がきれい=几帳面」「修正跡がない=準備が丁寧」など、手書きであること自体が評価対象となるケースも、一定数存在します。
しかし、この「手書き神話」には、いくつかの問題点もあります。
まず、時間と手間がかかること。慣れていない人が履歴書を1通書くには、下書きを含めて1時間以上かかることもあります。しかも、1社1通が基本とされているため、複数社に応募する場合は、毎回最初から書き直さなければなりません。内容の一部だけ変えたい場合でも、全文を手書きし直す必要があるのです。
次に、ミスが許されない緊張感もストレスの要因です。文字の誤字脱字、日付の書き間違い、用紙の汚れなど、ちょっとしたミスで書き直しになることも多く、就活における非効率さの代表例とも言えます。
さらに、文字のきれいさに自信がない人にとっては大きなハードルになります。人によっては、それだけで「自分には無理だ」と自信を失ってしまうケースも。履歴書の内容よりも「字」で評価されてしまう現状に、疑問の声も多くあがっています。
また、現在のコロナ禍以降のオンライン選考の流れの中で、紙の履歴書をPDFで送るよう指示する企業も増えています。この場合、「手書きしてスキャンして送る」という手間が発生し、結果として非効率な状況になってしまうのです。
こうした背景から、「手書きでなければいけない」という固定観念は徐々に薄れつつあります。特にIT企業やベンチャー企業、外資系企業では、デジタル化された履歴書を歓迎する傾向が強まっています。
時代の変化とともに、履歴書に求められる要素も少しずつ変わってきているのです。

第2章 デジタル履歴書が選ばれる理由
企業がデジタルを歓迎する本当の理由
ここ数年で、企業側がデジタル履歴書を受け入れる姿勢を強めています。では、なぜ多くの企業が手書きよりもデジタル履歴書を歓迎するようになってきたのでしょうか?
まず大きな理由は、採用プロセスの効率化です。特に中途採用市場や新卒採用において、多くのエントリーを処理する必要がある企業では、履歴書の内容をデータベース化して管理する必要があります。手書きの履歴書では、内容を目視で読み取り、手入力で転記する必要があるため、作業効率が非常に悪いのです。
一方で、デジタル履歴書は、PDFやWordファイルなどのデジタルデータとして提出されるため、検索性が高く、ATS(応募者トラッキングシステム)と呼ばれる採用管理ツールと連携しやすいという利点があります。名前、学歴、スキルなどの情報を素早く抽出でき、他の書類と紐づけた管理も容易になります。
さらに、採用のオンライン化が加速したことで、郵送や対面提出といった手段が見直されるようになりました。コロナ禍以降、面接もオンラインで実施されるケースが一般化してきた中で、履歴書だけアナログな形式にこだわる合理性がなくなったのです。
また、企業の働き方そのものが変わりつつあります。リモートワークやクラウド環境の普及により、「場所や時間に縛られない働き方」が進む中で、履歴書もデジタル化されるのが自然な流れとなっています。
つまり、企業がデジタル履歴書を歓迎する理由は、「便利だから」「読みやすいから」だけではなく、現代の採用システムや働き方にフィットしているからという本質的な理由があるのです。
手書きとの比較で見えるメリット・デメリット
ではここで、手書き履歴書とデジタル履歴書の違いを、メリット・デメリットの観点から整理してみましょう。
【手書き履歴書のメリット】
- 誠意や人柄が伝わりやすいとされる
- 文字の美しさで好印象を与える可能性がある
- 企業によっては「手書き歓迎」の文化が根強い
【手書き履歴書のデメリット】
- 修正がきかないため、ミスが許されない
- 作成に時間がかかり、非効率
- スキャンや郵送の手間が発生
- 読みにくい場合、内容が伝わりづらくなる
【デジタル履歴書のメリット】
- 書き直しや修正が簡単
- 複数企業にカスタマイズして送れる
- 誤字脱字チェックがしやすい
- PDF形式ならフォーマットの乱れも防げる
- クラウド保存・共有が容易
【デジタル履歴書のデメリット】
- 「誠意が感じられない」と捉える採用担当者も一定数存在
- フォーマット選びやレイアウトに悩む可能性あり
- ITリテラシーが求められる
このように、それぞれに一長一短があることがわかります。
特に注意したいのは、企業によって評価ポイントが異なる点です。たとえば、ベンチャー企業や外資系企業では、スピード感と効率性を重視するため、デジタル履歴書がむしろ「当たり前」となっているケースがほとんど。一方で、老舗の中小企業や地域密着型の企業などでは、今でも「手書き文化」が根付いていることもあります。
したがって、自分が志望する企業の文化や採用方針を事前に調べておくことが、履歴書のスタイルを決める上で非常に重要です。
また、近年では、手書きとデジタルを組み合わせた「ハイブリッド型」の活用も増えてきています。これについては、第5章で詳しく触れていきますが、今の就活では「どちらか一方だけが正解」という時代ではなくなっているのです。

第3章 デジタル履歴書の基本的な書き方
使用ツールとフォーマットの選び方
「デジタル履歴書って、どうやって作ればいいの?」という疑問を持つ方は多いかもしれません。パソコンに慣れていない新卒や社会人1〜3年目の方にとっては、まず「何を使えばいいのか」「どんな形式がベストなのか」から迷ってしまうこともあるでしょう。
まず、デジタル履歴書の作成には、以下のようなツールを使うのが一般的です。
【主なツール】
- Microsoft Word(ワード)
履歴書テンプレートが豊富で、企業側も開けやすい。多くの人が使い慣れているため安心感がある。 - Google ドキュメント
オンラインで作成・保存・共有が可能。Googleアカウントがあればすぐに利用でき、クラウド管理にも便利。 - 履歴書作成サービス(リクナビ・マイナビ・キャリタスなど)
フォーマットに沿って入力するだけで履歴書が自動生成される。PDF形式でダウンロード可能な場合も多く、初心者向け。
続いて、ファイルの形式も重要なポイントです。提出時は、Word形式のままではなくPDF形式に変換するのが基本。理由は、PDFならレイアウトが崩れず、相手の環境によって見え方が変わる心配がないからです。
【おすすめの保存形式】
- .pdf(推奨)
→ レイアウト固定。誤って編集されることもなく、安全性が高い。 - .doc/.docx(要注意)
→ Word環境によって崩れる可能性あり。提出前にPDF化を忘れずに。
また、ファイル名も重要です。企業側が管理しやすいように、**「氏名_履歴書.pdf」**などのわかりやすい名前にしておきましょう。たとえば、「tanaka_taro_rirekisho.pdf」などが一般的です。
ここで注意したいのが、スマホでの作成や提出は極力避けるべきということ。作業中の誤操作や入力ミスが起こりやすく、またファイルの整形や保存形式の指定も不便です。基本的にはパソコンでの作成・管理を前提にするのが無難です。
書くべき内容と構成のポイント
履歴書の基本構成は、手書き・デジタルを問わず共通しています。ただし、デジタルで作成する場合は、「読みやすさ」や「視認性」がより重要になってきます。ここでは、一般的な履歴書に含めるべき項目をおさらいしながら、デジタルならではの注意点を見ていきましょう。
【基本構成と記載ポイント】
- 氏名・連絡先
フルネームと連絡が取れるメールアドレス、電話番号を記載。メールアドレスはビジネス用途にふさわしいものを使う(例:Gmailで「名前+数字」など)。SNSのアカウントや個人ブログのリンクは、職種によっては追加してもOK。 - 写真(顔写真)
最近は、デジタル履歴書でも写真の添付が求められます。証明写真機やスマホアプリで撮影したものを使うのも可。ただし、画質が悪かったり背景が雑多だったりすると印象が下がるので注意。サイズは「縦4cm × 横3cm」が一般的。PDFに挿入する場合は、画質を落とさずに配置する。 - 学歴・職歴
古いものから順に記載し、「○○高校 入学」「○○高校 卒業」のように、入学と卒業の両方をセットで書く。大学名は「学部・学科」まで記載すると丁寧。職歴がある人は、アルバイトを除いた職務経歴を記載。最後に「以上」と記載するのも忘れずに。 - 資格・免許
履歴書で評価されやすいのはTOEICや日商簿記、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)など。現在取得中の資格は「〇〇取得予定」と記載してもOK。 - 志望動機
志望動機は、使い回し感が出ないよう企業ごとにカスタマイズするのが鉄則。「なぜその企業か」「自分の経験や価値観とどうつながるのか」を簡潔に伝える。200〜300文字程度が理想。 - 自己PR(長所・短所)
具体的なエピソードや成果を交えて、「どんな強みがあるか」「どう企業に貢献できるか」をアピール。数字や事例を使うと説得力が増す。 - 本人希望欄
「貴社規定に従います」と記載するのが一般的。勤務地や給与などにこだわりがある場合でも、初期段階ではあまり細かく書かない方が無難。
デジタル履歴書では、改行や段落の使い方も重要です。見出しと本文の間にスペースを入れる、フォントサイズを統一するなど、読みやすさへの配慮が求められます。
また、レイアウトが崩れやすいタブや全角スペースの多用は避け、シンプルで整ったデザインを意識しましょう。
【読みやすいフォント例】
- 游ゴシック
- メイリオ
- Arial(英語表記の部分)
- MS 明朝(クラシックな印象を出したい場合)
最後に大事なのは、「自分らしさ」を反映させること。どんなに見た目が整っていても、内容が薄かったり、どこかで見たようなテンプレート通りの文章ばかりだと、印象に残りません。あなたの経験や価値観がきちんと伝わるよう、自分の言葉でしっかりと書きましょう。

第4章 履歴書作成で差をつけるコツ
読まれる履歴書に共通する特徴
履歴書は、単に形式を整えて提出すれば良いというものではありません。多くの応募書類の中から「おっ、この人は気になる」と思わせるためには、読む側の視点に立った工夫が必要です。特に、採用担当者は毎日何十通もの履歴書に目を通しています。その中で目に留まる履歴書には、いくつかの共通点があります。
まず第一に大切なのが、情報が整理されていて見やすいことです。余白をうまく使い、行間も適切に保ち、過剰に装飾せずシンプルにまとめられている履歴書は、それだけで読みやすく、印象が良くなります。フォントの大きさや種類を揃え、各項目の見出しもはっきりと記載することで、視認性が高まります。
次に注目したいのが、内容に一貫性があることです。志望動機、自己PR、希望職種などがバラバラだと、「この人は何がしたいのか」が伝わりません。逆に、一貫したテーマや軸をもとに構成されている履歴書は、本人の考えが明確で、志望度も高く見えます。
たとえば、「人とのコミュニケーションを大切にしてきた経験」を軸に、志望動機・自己PR・学生時代のエピソードを展開すれば、自然な流れで読み手に伝わる履歴書になります。この“ストーリー性”があるだけで、他の応募者と差をつけることができるのです。
さらに大切なのが、具体性です。抽象的な表現ではなく、「どこで・何を・どうした」という事実ベースの記述が、信頼感と説得力を高めます。
具体例(NGとOK)
- NG例:「私は責任感が強く、何事にも一生懸命取り組みます」
- OK例:「大学3年時にゼミリーダーとして20人をまとめ、学外発表会を成功に導きました。期限管理とチームメンバーとの調整を徹底し、成果を出す責任感を身につけました」
読み手にとって重要なのは「どんな人か」が伝わること。そのためには、表面的な言葉ではなく、自分の体験に根ざしたリアルなエピソードを盛り込むことが効果的です。
新卒が注意すべきミスと対策法
新卒や若手社会人の履歴書には、よく見られる共通の“落とし穴”があります。ここでは、特に注意すべき代表的なミスと、それを避けるための具体的な対策を紹介します。
ミス①:誤字脱字や数字の間違い
もっとも基本的ですが、意外と見落とされがちなのが誤字脱字。特にデジタル履歴書では、変換ミスや入力ミスが起こりやすく、細かいところまで気を配る必要があります。
対策:
- 書き終えたら必ず音読してチェック
- 友人やキャリアセンターに第三者チェックを依頼する
- WordやGoogleドキュメントの校正機能を活用する
ミス②:空欄が多い・内容が浅い
新卒の履歴書でありがちなのが、「何を書けばいいかわからない」と悩み、空欄が多くなってしまうパターンです。また、形式だけ埋めていても、内容が薄ければ印象に残りません。
対策:
- 自己分析をしっかり行い、エピソードをメモにまとめておく
- 過去の経験(学業・部活・アルバイト・ボランティアなど)を洗い出す
- 書けない項目があれば、「なぜ書けないのか」を分析して準備を進める
ミス③:使いまわし感が出てしまう
複数社に応募する場合、履歴書をコピペして使いまわす人も多いですが、これが見抜かれると志望度が低いと判断されかねません。
対策:
- 志望動機は企業ごとに毎回カスタマイズする
- 応募企業の事業内容・理念・募集要項を調べたうえで、内容を反映する
- 同じテンプレでも「表現の角度」を変えて、独自性を出す
ミス④:自分を大きく見せすぎる
履歴書では「自分を良く見せたい」という気持ちから、誇張した表現や実績の盛りすぎが起こることもあります。しかし、面接で具体的に聞かれた際に説明できなければ、かえって逆効果になってしまいます。
対策:
- 事実ベースで書く
- 成果が曖昧な場合は「結果」ではなく「プロセス」を中心に伝える
- 面接での想定質問に答えられるかを基準に、履歴書内容を見直す
ミス⑤:見た目がごちゃごちゃしている
レイアウトが乱れている、フォントがバラバラ、無意味に装飾されている履歴書は、読む前に「雑な人」という印象を与えてしまいます。
対策:
- フォントは「メイリオ」「游ゴシック」など読みやすいものを統一して使う
- 見出しは太字にするなど、シンプルな工夫で整理する
- 無駄な装飾や色は避ける(基本はモノクロ)
ここまで見てきたように、「魅力的な履歴書」を作るには、内容の質と見せ方のバランスがとても大切です。特に新卒や若手社会人の場合、「経験が浅いから…」と自信をなくしがちですが、実際には自分の姿勢や考え方がきちんと伝わる履歴書こそが、最も評価されやすいのです。
自分の強みを活かしながら、応募企業の特徴に合わせて戦略的に履歴書を仕上げていきましょう。

第5章 手書きとデジタル、使い分けは必要か?
企業別の対応方法と判断基準
ここまでの章で、手書きとデジタル履歴書のそれぞれの特徴やメリット・デメリット、具体的な作成方法などを詳しく見てきました。では、最終的に「どちらを使うべきか?」という疑問に対する答えはどうなるのでしょうか。
結論から言えば、企業や応募先によって使い分けるのが最も賢い選択です。
すべての企業がデジタル履歴書を歓迎しているわけではなく、いまだに「手書きが望ましい」と考えている企業もあります。逆に、手書きの履歴書を受け付けていない、あるいは「PDF提出が前提」の企業もあります。したがって、応募先の情報をしっかりと読み取り、それに応じた履歴書の形式を選ぶ必要があります。
【判断基準のポイント】
- 企業の業種・業界
- IT・Web・ベンチャー・外資系:デジタル履歴書が主流
- 製造・流通・サービス・地域密着型:手書きが好まれる傾向あり
- 企業規模
- 大手企業:応募者数が多いためデジタル管理が主流
- 中小企業:担当者の裁量が大きく、伝統的なスタイルを重視する場合も
- 応募方法の指定
- 募集要項に「PDFで送付」「メールで送信」などの記載がある場合は、デジタルが前提
- 「郵送のみ」「履歴書(自筆)」といった表記がある場合は手書き推奨と判断
- 企業の採用ページやSNSの雰囲気
- 柔軟な雰囲気や若手が多く登場している会社では、形式よりも中身を重視する傾向が強い
- 逆に、古風な社風や歴史ある企業では、形式面を重視される可能性あり
このように、事前のリサーチを徹底することが、履歴書の「失敗しない選択」につながります。特に新卒や若手社会人の場合、「あえて手書きにすることで差別化を図る」という戦略もあり得ますが、それが逆効果になるリスクもあるため、慎重に判断したいところです。
ハイブリッド活用で就活を有利に進める方法
「結局、どっちが正解なの?」と悩む方におすすめしたいのが、**手書きとデジタルを目的別に使い分ける“ハイブリッド戦略”**です。これによって、効率と丁寧さの両方を実現することが可能になります。
【ハイブリッド戦略の例】
- エントリー初期(大量応募時):
デジタル履歴書で効率よく応募。PDF化して企業ごとにカスタマイズし、短時間で複数社に対応可能。 - 志望度の高い企業や最終選考前:
手書きの履歴書で「本気度」や「誠意」をアピール。特に、最終面接や社長面接など、より人柄重視の選考には手書きが効果を発揮する場合も。 - 企業によっては両方用意する:
面接当日に「手書きの履歴書を持参してください」と言われることもあるため、デジタル版と並行して手書きの原本も準備しておくと安心。
このように、状況やタイミングに応じて形式を柔軟に選ぶことが、今の時代の就活において有利に働くのです。
【手書き+デジタルの両立のコツ】
- 志望企業の選考フローを事前に確認しておく
- デジタル版で全体を作成 → 内容を練ったうえで手書きに転記
- 重要な企業だけ手書きにする、という選択肢もOK
- どちらの場合も誤字・形式・内容の最終チェックを怠らない
特に、転職活動では「全部デジタルで済ませたい」という人が多くなっていますが、新卒・若手にとっては「どこか一社には本気度を見せたい」というケースも多いはず。そんな時に「履歴書、手書きにしてみました」と面接で伝えられれば、それ自体が話のきっかけやアピールポイントになる可能性もあります。
また、デジタルが主流の時代だからこそ、“あえて手書き”の効果が高まる場面もあるのです。
今後のトレンドはどうなる?
最後に、履歴書の形式について今後どうなっていくかという未来視点も触れておきましょう。
結論から言えば、履歴書のデジタル化は今後も加速していくと予想されます。特に生成AIや自動書類選考システムの導入により、「形式よりも中身」「人柄よりもスキルやマッチ度」が重視される傾向が強まる可能性があります。
それでも、人間らしいコミュニケーションや「その人らしさ」を評価する企業がなくなるわけではありません。だからこそ、形式に縛られるのではなく、自分の強みをどう伝えるかにフォーカスすることが、どんな時代にも通用する履歴書作成の本質です。

まとめ-履歴書は「形式」より「伝え方」で差がつく時代へ
履歴書と聞くと、「やっぱり手書きじゃないとダメなのかな?」と不安になる方も多いかもしれません。しかし、この記事を通して見てきたように、現代の就活では手書きとデジタル、どちらも一長一短があり、必ずしも手書きが正解とは限らないことがわかっていただけたのではないでしょうか。
手書きの履歴書には、丁寧さや人柄を伝えやすいというメリットがある一方で、時間がかかりミスが許されないというデメリットもあります。一方、デジタル履歴書は効率的で修正がしやすく、企業側もデータとして管理しやすいという現代の採用活動にマッチした特徴があります。
特に若手や新卒の皆さんにとっては、ITスキルや柔軟な対応力も評価されるポイント。「デジタルで履歴書を作れる」ということ自体が、あなたの強みになる時代です。とはいえ、企業の中には今でも「手書き」に価値を感じるところもあるため、相手のスタイルに合わせた使い分けが重要です。
最もおすすめなのは、「ハイブリッド活用」です。応募が多い初期段階ではデジタルを使い、志望度の高い企業や面接前などの重要なタイミングで手書きを取り入れる。このように、シーンに応じて柔軟に対応することで、履歴書の効果を最大限に高めることができます。
履歴書は、単なる「書類」ではなく、あなた自身を伝える大切なメディアです。形式にこだわるよりも、「どうすれば自分の良さが伝わるか」「どんな形であれば相手に届くか」を考えることが、結果的に選考通過率を上げるカギになります。
これから就活を始める方、書類作成に悩んでいる若手社会人の皆さんも、ぜひ今回の記事を参考にして、あなたらしい履歴書を完成させてください。そして、その一枚の履歴書が、理想のキャリアへとつながる第一歩になりますように。